ウイルスへの曝露と神経変性疾患のリスク [医学一般の話題]

最近の調査結果では、エプスタイン- バーウイルスが多発性硬化症のリスク増加に関連付けられています。ウイルスへの暴露と神経変性疾患のリスクとの関連性を調べた本研究の結果、特に、肺炎を伴うインフルエンザは、研究された6つの神経変性疾患のうちの5つと有意に関連しました。

この研究では、FinnGen プロジェクトと UK Biobank (UKB) のリソースに問い合わせて、ウイルスへの曝露と、アルツハイマー病 (AD)、筋萎縮性側索硬化症 (ALS)、全般性認知症 (DEM) など、さまざまな一般的な神経変性疾患(NDD)との潜在的な関連性を調査。
(FinnGenのコホートは、300,000 人を超える個人のジェノタイピング データを利用できるフィンランドの全国的なバイオバンク)で、 UK Biobank (UKB)は英国の約 500,000 人の個人からのジェノタイピング データをホストする 。)

UKBの複製コホートの対照として、いかなる種類のNDDの罹患が無く、年齢が一致した(ベースライン年齢が60歳を超える)血縁関係のないヨーロッパ人の祖先96,390人のサブセットを使用。

FinnGen で 45 の重要な NDDとウイルスの関連が見つかり、UKB でこれらの関連付けのうち 22 が複製された。ハザード比が高いのは、viral encephalitis(FinnGen)の 30.72、 meningitisa(UKB)では62.20。

FinnGen では、ウイルス性脳炎の 406 例中 24 例が AD を発症 (5.9%)。 これは、同じ集団におけるADの一般的な有病率3%未満に比べて高い。認知症は、複数回のテスト修正後に最も再現性の高い関連性があり、ウイルス性脳炎、その他のウイルス性疾患、ウイルス性疣贅、すべてのインフルエンザ、インフルエンザと肺炎、およびウイルス性肺炎の 6 つのウイルス グループで有意な結果が示され、保護効果に関連するウイルスは無く、全てがNDDのリスク増加と関連した。

関連するウイルスの一部に対して現在ワクチンが利用可能であるため、ワクチン接種は神経変性疾患のリスクを軽減する方法となる可能性があります。インフルエンザと肺炎のワクチン接種は、AD と PD のリスクを軽減することがわかっています。しかし、これらの調査結果にもかかわらず、米国でのインフルエンザワクチン接種率は通常 50% 未満であり、帯状疱疹ワクチンの接種では、60 歳以上の人々の約 35%です。

但し、予防接種が NDD の予防に果たす役割についてはさらなる研究が必要です。NDD の臨床試験は一般的に長い追跡期間を必要とし、しばしば失敗に終わります。 その理由の 1 つは、疾患の進行の不均一性による可能性があります。 考えられる戦略の 1 つは、病気の進行が早い参加者で研究コホートを充実させることです。

体からウイルスを完全に除去することは極めて困難な課題ですが、ウイルスの複製を迅速に停止できる方法を特定することは危険因子の低減のための効果的な解決策になる可能性がある、と述べています。

しかし、ヒトの細胞の総数が60兆であるのに対し、共生しているウイルスは380兆と言われている。さらに、ヒトのDNAの半数以上はウイルス由来であり、全てを除去したいと考えること自体が誤りである。

出典文献
Virus exposure and neurodegenerative disease risk across national biobanks
Kristin S. Levine , Hampton L. Leonard, Cornelis Blauwendraat, et al.
Neuron 2023; DOI: 10.1016/j.neuron.2022.12.029.

重症患者への高用量タンパク質投与は死亡リスクを高くする [栄養の話題]

国際的な救命救急栄養ガイドラインでは、タンパク質用量は幅広いレンジを推奨しています。重篤な疾患において、高用量のタンパク質を投与することの効果は不明です。この研究では、重症患者に提供される高用量のタンパク質が臨床転帰を改善するという仮説を検証したところ、逆に、死亡率の相対リスクが高くなりました。

研究デザインは、国際的、多施設、実用的、レジストリベースの単盲検ランダム化試験。

人工呼吸を受けている栄養的にリスクの高い成人 (18 歳以上) を登録し、高用量のタンパク質 (1 日あたり 2.2 g/kg 以上) を処方した群と、通常用量(1 日あたり 1.2 g/kg 以下)のタンパク質を処方した群を比較。

2018 年 1 月 17 日から 2021 年 12 月 3 日までの間に、1329 人の患者中、1301 人 (97.9%)を分析 (高用量タンパク質群で 645 人、通常用量群で 656 人)。

60 日までの生存退院の累積発生率は、高用量タンパク質群で46·1% (95 CI 42·0%–50·1%) 、通常量タンパク質群では50·2% (46·0%–54·3%)であり、通常群におけるハザード比は0.91(hazard ratio 0·91, 95% CI 0·77—1·07; p=0·27)。統計的な有意差はなし。

60 日死亡率は、高用量タンパク質群は34·6% (222 of 642)、通常群では32·1% (208 of 648)で、相対リスクは1.08(relative risk 1·08, 95% CI 0·92–1·26)。

サブグループの評価から、急性腎障害とベースラインにおける臓器不全スコアが高い患者では、より高いタンパク質供給が特に有害となる傾向が見られた。

アミノ酸の組成は疾患や臓器によって異なっており、それぞれの組成に応じてアミノ酸を制御することが治療に繋がる可能性がある。例えば、癌も治療できることが明らかになっている。重篤な疾患だから高用量のタンパク質を投与するという発想が、いかに非科学的かということを医師は認識すべきだ。

出典文献
The effect of higher protein dosing in critically ill patients with high nutritional risk (EFFORT Protein): an international, multicentre, pragmatic, registry-based randomised trial
Daren K Heyland, Jayshil Patel, Charlene Compher, et al.
The Lancet, Published:January 25, 2023DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(22)02469-2

和製英語だけではない日本人作デタラメ言葉 [らくがき]

日本人作のデタラメ言葉が増殖している。これらのデタラメ言葉は、世界中で日本人だけが平然と使用しているものが多いのだが、そのことを全く知らない。そもそも、「和製英語」という表現も間違いであって、英語ではない。外国の言葉を日本人が勝手に作って良い道理はない。

例えば、リフォームは条例などを改正することであり、改築は「リノベイション」だ。では、「リホーム」ならどうかと言えば、その様な言葉は存在しない。他には、「仮想通貨」と言われているが、正しくは「暗号通貨:Cryptocurrency」であり、日本以外の全ての国で標準的に使用されている。そもそも、仮想のお金などは貨幣として存在しない。

また、日本人は、世界的に使用されている省略型を無視(知らない)して勝手に創作し、意味不明のカタカナ言葉を使用している。

例えば、アプリケーションの略は「アップ」だが、日本人は何故か、「アプリ」と言っている。

創作言葉の例では、ランニングマシン(トレッドミル:treadmill)、ベビーカー (ストローラー:stroller)、ガソリンスタンド(ガスステイション)、バックミラー(リヤビューミラー)、フロントガラス(ウインドシールド)、スキンシップ、ドクターストップ、ペーパードライバー、バトンタッチ、マジックテープ(Velcro)、パイプカットなど、書き出せば切りが無い。どれも、日本人が勝手に作ったカタカナ言葉であって、英語ではない。

日本製のアニメは世界的にも人気である。しかし一方で、「残念なアニメ」と言われているのをご存じだろうか。何やら意味不明の言葉を主人公が叫んでいたが、後に、それは英語やドイツ語のつもりだったらしいと知ったと話す外国人が多い。発音も文法的にも全く英語になっておらず、日本のアニメ制作者には英語が分かる人はいないのかと呆れているようだ。

発音が全く違うのはローマ字が影響しているのであろうが、このローマ字も、大正時代に、某国学者が日本人が発音し易いように一部の読み方を変更してしまっている。

奇妙な発音では、ほぼ全ての日本人は「Z」を「ゼット」と読む。アメリカ英語ならば「ジィー」、イギリス英語ならば「ゼッド」である。また、昔から、神を「ゴット」と呼ぶが、正しくは「ゴード」であり、外国人には全く通じない。

奇妙なことに、医学の専門家である医師や科学者たちでさえ、医科学単語の発音を間違えて平気で発音している。それらは、日本人にとって発音しにくいものに限らない。

例えば、アトピー(正しくは、エイトピック)、アルコール(アルコホール)、カテーテル(キャスター)、アンギオグラフィー(エンジアグラフィー:angiography)、ルーチン(ルチーン:routine)、プラセボ(プラシーボ)、チャンネル(チャネル)、アレルギー(アラジー; allergy) 、エネルギー(エナジー; energy) など。因みに、日本人は「gy」などの「g..」を「ギー」と発音するものと認識している。

さらに、最近特に感じている違和感は、単語のイントネーションを全て平らにしてしまう異常である。発音のお手本となるべきアナウンサー達が、率先してデタラメイントネーションを普及させているように感じられる。

最近の企業においては、複数の国の人たちが一緒に仕事をするため英語を実践的に話す機会が増えており、学校教育などを超えて確実に進化しつつあるようにも見える。しかし、一方においては逆に退化している側面もあり、二極化している印象がある。

この日本は、言葉において世界から孤立した奇妙な島国なのである。私は英語が得意でもなく、言語学者でもないので、偉そうに言える立場にはないのであるが、それでも、気になって仕方ないのである。

英語の微妙な発音は、日本人にとって聞き取りにくいことや発音が困難であることは確かである。この場合、カタカナ言葉にせず日本語を使えば良い。意味不明のカタカナ言葉を並べて英語のつもりで得意になるのは、どこかの都知事のように見苦しく公害であろう。

早期アルツハイマー病治療薬レカネマブの迅速承認への疑問 [薬とサプリメントの問題]

米食品医薬品局(FDA)は6日、日本の製薬大手エーザイと米製薬企業バイオジェンが共同開発した,早期アルツハイマー病治療薬の「レカネマブ:Lecanemab」を迅速承認したと発表した。

Lecanemabは早期アルツハイマー病において、可溶性アミロイドβ(Aβ)凝集体プロトフィブリルに選択的に結合するヒトIgG1モノクロナール抗体。投与後、18ヵ月時点でプラシーボよりも脳内のアミロイド蓄積量を減少させ、認知および機能低下をわずかに抑制した。

しかしLecanemabは、参加者の 26.4%に注入関連の反応を引き起こし、12.6%が浮腫または滲出液を伴うアミロイド関連の画像異常を引き起こした。

対象は、早期アルツハイマー病 (アルツハイマー病による軽度認知障害または軽度認知症) の 50 歳から 90 歳。研究は、18 か月間の多施設二重盲検第 3 相試験。陽電子放出断層撮影(PET)によるアミロイドの証拠、または脳脊髄液検査によって評価。参加者は、レカネマブの静脈内投与(10 mg/体重1kg)を2週間ごと)、またはプラシーボに、1:1 の比率で無作為に割り当てられた。

主要評価項目
臨床的認知症重症度判定尺度(Clinical Dementia Rating-Sum of Boxes:CDR-SB、範囲:0~18、高スコアほど障害が大きいことを示す)の合計スコアのベースラインから18ヵ月時までの変化。

主要副次評価項目
・PETにより評価した脳内アミロイド蓄積量
・アルツハイマー病評価尺度(Alzheimer's Disease Assessment Scale:ADAS)の14項目認知サブスケール(ADAS-cog14、範囲:0~90、高スコアほど障害が大きいことを示す)。
・Alzheimer's Disease Composite Score(ADCOMS、範囲:0~1.97、高スコアほど障害が大きいことを示す)。
・Alzheimer’s Disease Cooperative Study-Activities of Daily Living Scale for Mild Cognitive Impairment(ADCS-MCI-ADL、範囲:0~53、低スコアほど障害が大きいことを示す)の変化。

被験者数は合計1,795例で、lecanemab群898例、プラシーボ群897例。
CDR-SBスコアは18ヵ月時点で、ベースラインからの補正後最小二乗平均変化値がlecanemab群1.21、プラシーボ群1.66(群間差:-0.45、95%信頼区間[CI]:-0.67~-0.23、p<0.001)。

698例を対象に行ったサブスタディでは、プラシーボ群に比べlecanemab群で脳内アミロイド蓄積量の減少が大きかった(群間差:-59.1センチロイド、95%CI:-62.6~-55.6)。

その他で、ベースラインから18ヵ月時点までの平均変化に群間差が認められたのは、ADAS-Cog14スコア(0-90)(群間差:-1.44、95%CI:-2.77~-0.61、p<0.001)、ADCOMSスコア(0-1.97)(-0.050、-0.074~-0.027、p<0.001)、ADCS-MCI-ADLスコア(0-53低スコアで障害大)(2.0、1.2~2.8、p<0.001)。

前述したように、lecanemab群では、インフュージョンリアクションが26.4%、画像上の脳内アミロイド関連の浮腫・浸出が12.6%に認められた。

従来より、Aβ可溶性プロトフィブリルに高い親和性で結合するヒト化IgG1モノクローナル抗体である、可溶性および不溶性の凝集アミロイドベータ(Aβ)の蓄積が、アルツハイマー病の病理学的プロセスを開始または増強すると考えられてきたが、その根拠となった論文が捏造であったことが判明し一大騒動となっている。

認知機能低下の抑制効果は微小であり、有害事象と関連していた。 初期のアルツハイマー病におけるlecanemabの有効性と安全性の判断は時期尚早と言える。FDAは国家の威信にかけてアルツハイマー病薬を一刻も速く世に出したい、そんな意図が透けて見える。

出典文献
Lecanemab in Early Alzheimer’s Disease
List of authors.
Christopher H. van Dyck, Chad J. Swanson, Paul Aisen, Randall J. Bateman, et al.
N Engl J Med 2023; 388:9-21 DOI: 10.1056/NEJMoa2212948

急性腰痛後の慢性腰痛発症を予測する予後因子とは [腰痛関連]

急性腰痛後、約40%の人々が3か月以上続く慢性的腰痛を訴えるが、急性エピソードの時点で慢性腰痛(cLBP)の発症を予測することは困難。この研究は、cLBPの神経生物学的および心理的危険因子を特定することを目的として行われた。対象は急性 LBP 患者 120名で、6 か月のフォローアップを伴う前向きコホート研究。

分析は、痛みの強さまたは障害の程度を連続変数とする多変数線形回帰モデル。二次分析には、二分変数は、6 か月での LBP の存在 (しきい値の痛みの強度と障害の程度) を含む多変数ロジスティック モデル。

感覚皮質と運動皮質の興奮性の低下、ベースライン時の痛みの強さ、うつ病、ストレスの強さ、および痛みの破局化が6 か月における痛みの強さの最も強力な予測因子 (R2 = 0.47) でした。

また、高年齢と破局的な痛みが6か月時点での障害の最も強い予測因子でした (R2 = 0.30)。 感覚皮質と運動皮質の興奮性、脳由来神経栄養因子の遺伝子型、うつ病と不安、LBP の病歴とベースライン時の痛みの強さは、6 か月で LBP を報告した人と報告しなかった人の間で区別された (C 統計値 0.91)。神経生物学的危険因子を多変数線形回帰モデルに追加すると、6 か月間の疼痛強度の分散のさらに 15% が説明された。

これらの調査結果は、LBPの転帰を予測しようとする際に、神経生物学、心理学、症状関連、および人口統計学など、様々な領域にわたって多様な表現型特性を評価することの重要性を裏付けている。たとえば、クラスター分析を使用した縦断的研究では、6 か月のフォローアップで急性 LBP からの回復が最悪だった個人は、腫瘍壊死因子の血清濃度が高く、より高いうつ病様症状を示した。

尚、慢性疼痛における破局化とは痛みに対して注意が囚われることや、無力感、痛みの脅威を過大評価することなどの認知過程で、痛みの難治化を説明するfear-avoidance modelの一部を構成するものであり予後に強く関係する。破局化の評価法には疼痛破局的思考尺度(PCS)があり、反芻,無力感,拡大視の3つの下位尺度がある。痛みに囚われた思考や不安をそのまま無批判に体験するマインドフルネスが破局化を和らげると言われ、治療としての有用性が示唆されている。

まとめると、高年齢と急性時の痛みの強さが6か月後における障害の最も強い予測因子であり、さらに、感覚皮質と運動皮質の興奮性、脳由来神経栄養因子の遺伝子型、うつ病と不安、LBP の病歴とベースライン時の痛みの強さが6 か月間の疼痛強度に関連した。

要するに、急性発症の際の痛みの強さと性格的傾向、および遺伝子型が慢性化に影響するということであり、およそ予測できる範疇である。この知見が、慢性化を食い止めることに結びつくのであろうか。

出典文献
Cortical function and sensorimotor plasticity are prognostic factors associated with future low back pain after an acute episode: the Understanding persistent Pain Where it ResiDes prospective cohort study
Jenkins, Luke, C, Chang, Wei-Jua, Buscemi, Valentinaa, Liston, Matthewa, et al.
PAIN 164(1):p 14-26, January 2023. | DOI: 10.1097/j.pain.0000000000002684

過体重および肥満の膝OA患者に対する食餌と運動の効果とは [腰痛関連]

50 歳以上の変形性膝関節症(膝OA)で過体重または肥満 (BMI ≥27) の患者823名を対象として、食餌療法と運動の介入群と指導のみを比較した結果、痛みの軽減は統計的には有意であったが、その差は20満点中0.5と僅かなもので無意味であった。さらに、食餌と運動介入群には有害事象が多く見られることから、むしろ有害であり推奨できないと言える。

調査は、ノースカロライナ州の都市部および農村部の郡のコミュニティで実施された、評価者盲検無作為化臨床試験。患者は、50歳以上の膝OAおよび過体重または肥満 (BMI ≥27) の男女(N = 823)。気管は、2016 年 5 月から 2019 年 8 月の間で、フォローアップは 2021 年 4 月に終了し、計658 人 (80%) が試験を完了。

主要評価項目は、西オンタリオとマクマスター大学の変形性関節症指数 (WOMAC) 膝痛スコアのグループ間の差 (範囲、0 [なし] から 20 [重度]; 臨床的に重要な最小差、1.6) 。共変量を調整した反復測定混合線形モデルを使用して評価。副次的評価は体重を含む 7 つの項目。

平均 WOMAC 疼痛スコアは、介入群(n = 329)で5.0 、注意対照群(n = 316)では 5.5 (adjusted difference, -0.6; 95% CI, -1.0 to -0.1; P = 0.02)。

7 つの副次的評価項目のうち、5 つは対照群と比較して介入群が有意に優れていた。

169 件の重篤な有害事象があったが、研究に明確に関連するものはなかったと記されている。729件の有害事象があり、その中の32 (4%) は研究に確実に関連しており、10 の体の損傷 (食事と運動介入群で 9件、注意群では1件)、7件の筋緊張 (食事と運動介入群で 6件、注意群で1件)、および介入群で 6件のつまずき/転倒があった。

私は、膝痛に対する運動療法は有害性の方が高いと考えている(「拙著:膝痛の鍼治療」で説明)。膝痛と十把一絡げにせず、患者個々の痛みの起源を適格に捉え、原因に即した治療を行えば効果は確実なものとなる。何も考えず、漫然と有害な電気や温熱療法を処方するだけの輩に言っても、理解されないであろうが。

出典文献
Effect of Diet and Exercise on Knee Pain in Patients With Osteoarthritis and Overweight or Obesity: A Randomized Clinical Trial.
Stephen P Messier, Daniel P Beavers, Kate Queen, Shannon L Mihalko, et al.
Journal JAMA. 2022 Dec 13;328(22);2242-2251. doi: 10.1001/jama.2022.21893.