衛生製品・化粧品の問題 ブログトップ

FDA はドライシャンプーによるベンゼン汚染を警告 [衛生製品・化粧品の問題]

FDA は最近、製薬メーカーに対しベンゼン汚染について警告した。ベンゼンの含有濃度制限である2 ppm を超えるレベルについて、自社製品を適切にテストする必要性を明確に示した。インターネットを検索すると多くの製品が見られるが、何れも、ベンゼンの含有量は示されていない。

ドライシャンプーは、人間への発がん性物質として知られているベンゼンを含む化粧品および衛生製品のリストに加えられている。また、ドライシャンプーには、ブタン、イソブタン、プロパンなどの噴射剤が含まれていることが多く、これらはすべてベンゼン汚染の原因となる可能性がある。

34 社のドライ シャンプー スプレー 148 バッチのうち、70% に定量可能なレベルのベンゼンが含まれていた。また、一部の製品には、FDA が課した 2 ppm のベンゼン制限の最大 170 倍が含まれていたことが、Valisure によって確認されている。

例えば、「Not Your Mother」のドライ シャンプーには、最大 340 ppm のベンゼンが含まれており、FDAの制限を超えるベンゼンレベルが含まれている他のブランドには、Paul Mitchell、Sun Bum、Batiste、Sebastian、Redken などがある。

さらに、手指消毒剤、日焼け止め、スプレー消臭剤でも違法レベルのベンゼンが検出されている。これらの衛生製品や化粧品に発がん性物質が多く含まれていることから、業界に対する規制上の措置が必要であることを示している。

しかし現状は、この問題とそこから生じるリスクに完全に対処するまでには、業界の倫理観や消費者の認識不足などが影響するため未だかなりの道のりが必要となる。

出典文献
Dry Shampoo Added to List of Products Contaminated With Benzene
— Findings represent the highest levels found in a consumer product to date, according to Valisure
by Amanda D'Ambrosio, Enterprise & Investigative Writer, MedPage Today November 2, 2022

抗菌グッズの欺瞞性 [衛生製品・化粧品の問題]

 抗菌成分の含有を謳い文句にした各種のグッズが売られていますが、実際に感染症の頻度を減らせるかの検証がされているとは言えません。さらに、抗菌グッズには別の問題があります。CDC(アメリカ)は、消毒行為による耐性菌増加と交叉耐性、およびアレルギーとの関係を警告しています。

(追伸:2015年9月現在、アメリカでは、抗菌石鹸の製造販売は禁止されました。抗菌石鹸には効果が無いばかりではなく、有害性が認められているからです。)

Volume 18, Number 8 - August 2012
Research
VIM-2-producing Multidrug-Resistant Pseudomonas aeruginosa ST175 Clone, Spain

 抗菌グッズの効果を調査した研究報告(2004年)があります。

 238の家庭(1,178名)を対象にして、一般清掃、ランドリー、手洗いなどを抗菌成分入りと抗菌成分無しの製品にランダムに割り当てて調査(二重盲検ランダム化トライアル)。

 1週間に1回、電話によって、身体状況(症状は主に呼吸器症状)を調査。月1回の訪問、48週間調査。

 症状の発生率は、抗菌グループ33.1%、非抗菌性グループ32.3%と、治療群間に差はありませんでした。発熱、鼻水、咽頭痛、下痢、嘔吐、結膜炎などの個々の症状にも差はありませんでした(表)。

 さらに、調査期間を通して報告される症状数の違いも、両群に有意差は認められません(下図)。つまり、一般的な清掃や手洗いと違いはないのです。

Elaine L. Larson, Susan X. Lin, et al.
Effect of Antibacterial Home Cleaning and Handwashing Products on Infectious Disease Symptoms: A Randomized, Double-Blind Trial FREE
Ann Intern Med. 2 March 2004;140(5):321-329

 最近、抗菌用に使用が増加している、トリクロサンによる骨格筋、心筋への悪影響の可能性も指摘(in vitroの知見)されています。抗菌剤には注意が必要です。

Triclosan impairs excitation- contraction coupling and Ca2+ dynamics in striated muscle
PNAS August 13, 2012 Published online before print August 13, 2012, doi: 10.1073/pnas.1211314109

衛生製品・化粧品の問題 ブログトップ