過体重および肥満の膝OA患者に対する食餌と運動の効果とは [腰痛関連]

50 歳以上の変形性膝関節症(膝OA)で過体重または肥満 (BMI ≥27) の患者823名を対象として、食餌療法と運動の介入群と指導のみを比較した結果、痛みの軽減は統計的には有意であったが、その差は20満点中0.5と僅かなもので無意味であった。さらに、食餌と運動介入群には有害事象が多く見られることから、むしろ有害であり推奨できないと言える。

調査は、ノースカロライナ州の都市部および農村部の郡のコミュニティで実施された、評価者盲検無作為化臨床試験。患者は、50歳以上の膝OAおよび過体重または肥満 (BMI ≥27) の男女(N = 823)。気管は、2016 年 5 月から 2019 年 8 月の間で、フォローアップは 2021 年 4 月に終了し、計658 人 (80%) が試験を完了。

主要評価項目は、西オンタリオとマクマスター大学の変形性関節症指数 (WOMAC) 膝痛スコアのグループ間の差 (範囲、0 [なし] から 20 [重度]; 臨床的に重要な最小差、1.6) 。共変量を調整した反復測定混合線形モデルを使用して評価。副次的評価は体重を含む 7 つの項目。

平均 WOMAC 疼痛スコアは、介入群(n = 329)で5.0 、注意対照群(n = 316)では 5.5 (adjusted difference, -0.6; 95% CI, -1.0 to -0.1; P = 0.02)。

7 つの副次的評価項目のうち、5 つは対照群と比較して介入群が有意に優れていた。

169 件の重篤な有害事象があったが、研究に明確に関連するものはなかったと記されている。729件の有害事象があり、その中の32 (4%) は研究に確実に関連しており、10 の体の損傷 (食事と運動介入群で 9件、注意群では1件)、7件の筋緊張 (食事と運動介入群で 6件、注意群で1件)、および介入群で 6件のつまずき/転倒があった。

私は、膝痛に対する運動療法は有害性の方が高いと考えている(「拙著:膝痛の鍼治療」で説明)。膝痛と十把一絡げにせず、患者個々の痛みの起源を適格に捉え、原因に即した治療を行えば効果は確実なものとなる。何も考えず、漫然と有害な電気や温熱療法を処方するだけの輩に言っても、理解されないであろうが。

出典文献
Effect of Diet and Exercise on Knee Pain in Patients With Osteoarthritis and Overweight or Obesity: A Randomized Clinical Trial.
Stephen P Messier, Daniel P Beavers, Kate Queen, Shannon L Mihalko, et al.
Journal JAMA. 2022 Dec 13;328(22);2242-2251. doi: 10.1001/jama.2022.21893.