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上腹部の痛みと吐き気の治療 [自分でできる治療法]

 上腹部の痛みと吐き気を、自分で治療する方法について説明します。指圧ですので、一般の方でも簡単にできます。

但し、一般の鍼灸学書に例示された経穴(ツボ)とは異なっています。

上腹部(みぞおち付近)の痛み

 治療法を説明する前に一言。みぞおち付近が痛むと、多くの人は「胃」が痛いと考えます。しかしながら、この判断には注意が必要です。痛みの部位感だけで症状を起こしている内臓を鑑別することはできません。上腹部の痛みは、胃・十二指腸・肝臓・胆道・膵臓疾患や虫垂炎、さらには上部尿管結石でも生じます。

 この治療法は、原因は定かではないものの、胃を中心とした上腹部の機能的異常による痛みを主な対象としています。効果は即効的ですので、仕事中、出先などで痛みを感じた時に役立つと思います。

上腹部の痛み

 私が薦める方法は“少海穴”への指圧です。その部位は、肘の内側の骨の突起を目安にして、この骨より1横指程親指側に硬い筋肉を触れます、この筋肉の小指側の縁の圧痛点を目標にします(肘の内側の橈側手根屈筋と円回内筋の付着部で、この両筋の間。但し、反応点は若干変動しますので、圧痛の強い部位を目標にします)。
 特に、胃が痛んでいる時は、この筋肉は硬く、圧痛も強くなっています。ここを少し痛む程度に指圧します。10秒程度の圧迫を数回繰り返します。早ければ数分後には痛みは軽快します。直後に軽快しない場合でも、しばらく経った頃、痛みが楽になっていることに気づきます。胃潰瘍の方でも、薬と併用するといっそう効果的です。

 鍼灸関連の成書では、胃に関係(経絡、局所的)した経穴(ツボ)の、“中脘(へそとみぞおちの中間),胃兪・脾兪(背中),足の三里(スネの上部),梁丘(膝の上)”などが、治療穴として示されています。しかしながら、私の経験では痛みに対して即効的な効果は感じられません。私が示した経穴は、経絡とも交感神経支配分節とも違います。

補足)吐き気、乗り物酔い
 
 吐き気には、一般的には内関穴(手掌側の手首の中央から2横指程肩よりの、2本の太い腱の間)が使用されます。この経穴は効果的ですが、この他の方法として、私が発見したポイント(丘回と命名)で、少海穴より筋肉に沿って手首方向に2~3横指の部位の圧痛点です。乗り物酔いですと、即効的に楽になります。

注意) 胃炎やノロウイルスの感染などで胃の粘膜が過敏になっている時は、丘回への刺激が直接胃部へ響いて吐き気が増悪します。この様な時は控えた方が無難ですが、逆に、直後に嘔吐して、早く軽快する場合もあります。また、この方法が全く効果ないか、症状が長引く場合には、何らかの器質的疾患の存在が疑われます。

上腹部痛・吐き気.gif
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