高血糖急性虚血性脳卒中患者への集中的血糖コントロールは有害 [医学一般の話題]

急性虚血性脳卒中患者における高血糖は一般的であり、より不良な転帰に関連付けられているものの高血糖に対する集中治療の有効性は不明。本研究は、無作為化臨床試験によって、高血糖に対する集中的治療と標準的治療の効果を比較したもの。

参加者は、2012年4月から2018年8月までに、アメリカの63サイトで脳卒中発症から12時間以内に登録された虚血性脳卒中患者。フォローアップは2018年11月に終了。対象者は、適格性基準を満たした1151人の成人患者。

コンピュータ化された意思決定支援ツール(目標血糖濃度80-130 mg / dL [4.4-7.2 mmol / L])を使用した連続静脈内インスリン投与の集中治療群(n = 581)、または、スライディングスケールによってインスリンを皮下投与(目標血糖濃度80-179 mg / dL [4.4-9.9 mmol / L])する標準治療群(n = 570)の2群に、無作為に分類して72時間実施。

メインアウトカムは、改変ランキンスケールスコア(脳卒中障害尺度:0[症状なしまたは完全に回復した]から6[死亡]まで)に基づいて、90日間における良好な結果を示した患者の割合で評価(ベースラインの脳卒中重症度に合わせて調整)。

1151名の平均年齢は66歳(SD, 13.1 years)、529名 [46%]が女性、920名[80%]が糖尿病、調査を完了したのは1118名 (97%)。平均血糖値は、集中治療群で118 mg/dL (6.6 mmol/L)、標準治療群では 179 mg/dL (9.9 mmol/L)。

良好な結果を達成した患者の割合は集中治療群で20.5%、標準治療群で21.6%で、両群に統計的有意差は無し。

低血糖ないしはその他の有害事象で治療を中止した患者は、集中治療群で65/581名 (11.2%)、一方、標準治療群では18/570名(3.2%)。重篤な低血糖を起こした患者は集中治療群のみで15/581名[2.6%]。

結論として、集中的治療および標準的治療による最大72時間の血糖制御は、90日間で機能的結果に有意な差をもたらさなかっただけではなく、集中治療は有害事象が多く、さらに、重篤な低血糖が認められた。

つまり、急性期虚血性脳卒中患者における高血糖は、むやみに下げることはかえって有害であると言える。

出典文献
Intensive vs Standard Treatment of Hyperglycemia and Functional Outcome in Patients With Acute Ischemic Stroke
The SHINE Randomized Clinical Trial
Karen C. Johnston, Askiel Bruno, Qi Pauls, et al.,
JAMA. 2019;322(4):326-335. doi:10.1001/jama.2019.9346

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