BMIおよび喫煙と死亡率との関係とは [医学一般の話題]

遺伝的に予測された BMI と全原因死亡リスクとの関係は全体的にはJ字形の関係を示し、最も低いリスクのBMIは約22-25であった。低体重および太りすぎと肥満の参加者の両方で死亡リスクは増加し、これらの結果は一般的な研究報告と類似していた。

遺伝的に予測された BMIと全原因死亡リスクとは全体的に正の関連性を示し、BMI の1単位増加で過体重参加者(BMI 25.0-29.9)の死亡リスクは5% (95% confidence interval 1% to 8%) 高くなり、肥満の参加者 (BMI ≥30.0)では9% (4% to 14%)高くなった。

この報告は、ノルウェートロンデラーグ県健康調査(HUNT Study)と英国バイオバンクに基づく、大規模前向き集団コホートにおける、線形および非線形メンデルランダム化解析によるBMI(body mass index)および喫煙と死亡率との関係についての調査結果。

しかし、、、。

BMIとすべての死因リスクとの関係は因果的根拠を有しているように見えるが、サブグループ分析では、BMIと-死亡率関係の全体的な形状が1つのJ字型の関係ではなく、異なる曲線を含むことが示唆される。

非喫煙者では、低BMIほど死亡リスクは低く、BMIの増加とともに緩やかに増加し、Jカーブは示さない。

HUNT StudyではBMIが35以上になるとリスクは減少し、さらに、喫煙者では高BMIよりも低BMIの方が死亡リスクは高い。

また、非癌・非心血管死亡ではきれいなJ字形を示すものの、癌では平坦となり、もはやJ字形の関係性は見られない。

出典文献
Body mass index and all cause mortality in HUNT and UK Biobank studies: linear and non-linear mendelian randomisation analyses
Yi-Qian Sun, researcher, Stephen Burgess, James R Staley, et al.,
BMJ 2019; 364 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.l1042 (Published 26 March 2019)
Cite this as: BMJ 2019;364:l1042

補足
メンデルランダム化解析(mendelian randomization:MR)
近年注目されている MRとは、遺伝子多型を用いてランダム化する手法。遺伝子多型は環境要因の影響を受けずに無作為に子孫に配分される「メンデルの独立の法則」に従っている)ため、形質との関連に交絡要因を含まないことや、逆の因果関係を持たないことから、遺伝子多型を操作変数として形質に影響を及ぼす因子との関連を推定できる(因果推論:causal inference)と考えられています。

MRによって、観察研究データでも因果推論を行える利点がありますが、ある遺伝子多型が様々な表現型と関連する(Pleiotropyの問題)場合、因果推論は正しく行われない可能性があります。その他にも、集団の構造化やLDの問題など操作変数の選定方法には注意が必要であると多くの文献で報告されています。

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