ストレス関連障害は独立して心血管疾患に関連すると報告 [医学一般の話題]

ストレス関連障害と心血管疾患リスクとの関連を評価するためのコホート研究の結果、ストレス関連障害は、家族の背景、身体/精神疾患の既往、および精神科合併症などから独立して、複数のタイプの心血管疾患に強く関連していた。

スウェーデンにおいて、外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disorder;PTSD)、急性ストレス反応、調整障害、および他のストレス反応を含む、ストレス関連障害として登録された 136, 637名(1987から 2013年)と、これらの患者の兄弟で非患者171,314名、および一般集団の非患者1, 366, 370名を一致させた。

心血管疾患は、虚血性心疾患、脳血管疾患、塞栓/血栓症、高血圧症、心不全、不整脈/伝導障害、および致死的心疾患。

最長27年のフォローアップ間における任意の心血管疾患の粗発生率は、1000人年あたりで、ストレス関連障害患者10.5、非患者の兄弟8.4、および一般集団6.9。

ストレス診断後初年度関連障害として、兄弟ベースの比較では、任意の心血管疾患のハザード比は1.64 (95% confidence interval 1.45 to 1.84)。最も高いハザード比は心不全で6.95(1.88 to 25.68)、その他の脳血管疾患 5.64(1.19 ~ 26.75)、伝導障害5.00(1.58 to 15.80)、および心停止 3.37(1.05 ~ 10.75) 。尚、1年を超えると相対リスク上昇率は減衰した (ハザード比は 1.12;1.04 to 1.21)。

急性心血管イベントでは心停止の明確な時間依存性のリスクパターンを認め、ストレス関連障害診断後の最初の6ヶ月以内では相対リスクは4倍以上となった。一方、急性心筋梗塞および急性脳血管疾患の時間的リスクパターンは目立たなかった。

関連性についての正確なメカニズムは分からない。しかし、急性心血管イベントでは、ストレス関連障害診断後の最初の6ヶ月以内で相対リスクは4倍以上となるものの、1年を超えると相対リスク上昇率は減衰した。つまり、診断されなければリスクは上昇しなかった可能性がある。

そもそも、ストレスとは外圧に過ぎない。受ける側の反応が問題なのであり、その結果として、個人に生じている病態と心血管イベントとの関係が議論されるべき。最も考えられる原因の1つは血圧の上昇。

“Discussion”で述べられている、その結果として生じる、「内皮機能不全および動脈硬化症の発症、さらに、長期にわたる生物学的障害によっても、心血管リスクに対する重度のストレス反応の長期的な効果は妥当である、、、。」は、1年を超えると相対リスク上昇率が減衰したことから考えにくいのでは。

出典文献
Stress related disorders and risk of cardiovascular disease: population based, sibling controlled cohort study
Huan Song, Fang Fang, Filip K Arnberg, et al.,
BMJ 2019; 365 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.l1255 (Published 10 April 2019)
Cite this as: BMJ 2019;365:l1255

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