鍼の腰椎椎間板ヘルニア治療の効果は牽引や各種鎮痛剤よりも優れていた [鍼治療を考える]

腰椎椎間板ヘルニア(LDH)治療の研究における、システマティックレビューとメタアナリシスの結果、鍼治療の効果は牽引治療や各種の消炎鎮痛剤よりも優れていた。

この研究では、LDHの治療における、鍼治療の有効性に関する証拠を評価するために、電子データベースを検索して鍼治療のランダム化比較試験(RCT)を同定し、RevMan 5.3によってメタアナリシスを行い、GRADE法を用いて証拠レベルを評価。

対象となった研究は30件で、患者は3503名。

鍼治療の総実効レベルは他の治療法よりも高く、腰椎牽引(RR=1.1, 95% CI 1.05 to 1.15; p<0.001)、イブプロフェン(RR=1.24, 95% CI 1.03 to 1.48; p=0.02)、ジクロフェナク(RR=1.44, 95% CI 1.24 to 1.67; p<0.001)、およびメロキシカム (RR=1.16, 95% CI 1.03 to 1.31; p=0.01)。

visual analogue scale (VAS) による評価では、腰椎牽引(SMD -1.33,95%CI -1.82〜-0.84; p <0.001)、ジクロフェナクナトリウム(SMD -1.36,95%CI -2.59〜-0.13; p = 0.03)。

日本整形外科学会(JOA)のスコアでも、腰椎牽引(SMD 0.96,95%CI 0.48〜1.45; p = 0.0001)よりも良好。

さらに、5件の個別試験における総実効率では、マンニトール+デキサメタゾンおよびメコバラミン、イブプロフェン+フグイグルトンカプセル、ロキソプロフェン、マンニトール+デキサメタゾンおよび huoxue zhitong 煎じ薬よりも高かった。また、2件の個別試験のVASスコアでも、イブプロフェンまたはマンニトール+デキサメタゾンと比較して鍼治療が優れていた。

私の経験でも、臨床的に、鍼治療はLDHに対して即効性が認められる。この結果から言えることは、一般的な病態認識の方に問題がある(仮説に誤りがある)。

出典文献
Acupuncture for lumbar disc herniation: a systematic review and meta-analysis.
Tang S, Mo Z, Zhang R.
Acupunct Med. 2018 Mar 1. pii: acupmed-2016-011332. doi: 10.1136/acupmed-2016-011332.

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