ジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤は炎症性腸疾患のリスク増加に関連する [薬とサプリメントの問題]

2型糖尿病治療薬である、ジペプチジルペプチダーゼ-4インヒビター(DPP-4阻害剤)の使用は、炎症性腸疾患のリスクの全体的な75%の増加と関連していた。

552 413 person yearsのフォローアップにおいて、208件の炎症性腸疾患事象が発生(100,000人年あたり原発罹患率は37.7%;95% confidence interval 32.7 to 43.1)。DPP-4阻害剤による炎症性腸疾患のリスク増加は100,000人年あたり53.4 v 34.5で、hazard ratio 1.75(95% confidence interval 1.22 to 2.49)。

ハザード比は、使用期間が長くなるにつれて徐々に増加し、3〜4年後にピーク(hazard ratio 2.90, 1.31 to 6.41)となり、4年以上使用した後に減少した(1.45, 0.44 to 4.76)。

DPP-4阻害剤(日本ではテネリア錠:田辺三菱)は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)を分解する酵素であるDPP-4の働きを選択的に阻害する薬剤。インスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制することで血糖降下作用を発揮する。

2型糖尿病治療における、DPP-4阻害剤の使用は、10年前に導入されて以来増加している。しかし、 DPP-4は血清中に存在して多くの細胞機能に関連する。また、免疫応答に関与するものを含む様々な細胞の表面に発現しているため、その阻害によって予期しない作用が現れる可能性がある。糖尿病の専門医は、「良い薬です。」と言うが、、、。

この研究に見る、炎症性腸疾患のような自己免疫状態におけるDPP-4の影響は十分に理解されていない。

炎症性腸疾患のマウスモデルに関する研究では、DPP-4阻害剤による治療によって疾患活性が低下することが示唆されている。一方、臨床データでは、炎症性腸疾患を有する患者の血清DPP-4濃度が、健常対照者よりも低いことが報告されている(1.2.3.)

出典文献
Dipeptidyl peptidase-4 inhibitors and incidence of inflammatory bowel disease among patients with type 2 diabetes: population based cohort study
Devin Abrahami, Antonios Douros, Hui Yin, et al.,
BMJ 2018; 360 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k872 (Published 21 March 2018)

1.
Magro DO, Kotze PG, Martinez CAR, et al
Changes in serum levels of lipopolysaccharides and CD26 in patients with Crohn’s disease.
Intest Res2017;15:352-7. doi:10.5217/ir.2017.15.3.352 pmid:28670232

2.
Moran GW, O’Neill C, Padfield P, McLaughlin JT
Dipeptidyl peptidase-4 expression is reduced in Crohn’s disease. Regul Pept2012;177:40-5. doi:10.1016/j.regpep.2012.04.006 pmid:22561447

3.
Hildebrandt M, Rose M, Rüter J, et al.,
.Dipeptidyl peptidase IV (DP IV, CD26) in patients with inflammatory bowel disease. Scand J Gastroenterol2001;36:1067-72. doi:10.1080/003655201750422675 pmid:11589380

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