血清ヒアルロン酸は肝障害の重症度と共に上昇する [ヒアルロン酸]

肝硬変の重症度(Child-Pughスケール)と血清ヒアルロン酸(HA)濃度との間には相関関係が認められ(R = 0.679、P = 0.000)、肝臓損傷の最も重篤な段階においてHA濃度がより高いことが示されている。
(Monika Gudowska, et al., 2016)

前回に続き、ヒアルロン酸について考えてみたい。

この研究は、20人の健康なボランティア、およびアルコール性肝硬変(AC)患者57名、非アルコール性肝硬変(NAC)30名、および中毒性肝炎(HT)22名の血清サンプルについて、スピアマンの順位相関試験によって比較している。肝硬変患者はChild-Pughスコアに従って分類。ヒアルロン酸濃度は免疫化学的方法により測定。肝線維化の非侵襲的マーカーであるAPRI、GAPRI、HAPRI、FIB-4、およびForn's indexと比較。

ANOVA rank Kruskal-Wallis検定により、肝硬変の重症度が最も高いChild-PughクラスCとクラスBの比較では平均HAレベルは約2.5倍を示し、クラスAとの比較では7倍高いことが示された。

肝線維化および肝硬変に至る共通の経路は、細胞外マトリックス(ECM)の沈着が増加することである。これは、コラーゲン、糖タンパク質およびヒアルロナンの分子および組織学的再構成による。 ヒアルロン酸(HA)は体内のあらゆる組織に存在する高分子グリコサミノグリカン(多糖類)であり、ヒアルロン酸合成酵素と呼ばれる酵素によって滑膜細胞と肝星状細胞(HSC)で合成されている。肝臓では、類洞内皮細胞によって分解されるため、肝臓細胞傷害および炎症反応によって血清HAレベルは影響され得る。血液中の半減期が短いため(2-5分)、血清HAレベルは肝線維症段階を反映する。

肝疾患におけるヒアルロン酸濃度の増加は、肝線維形成および線維化の増加に起因する可能性があることはこれまでにも知られていた(1)。ヒアルロン酸の血清レベルは、ECMの血清レベルが変化する慢性肝疾患において上昇することが見出されおり、これらには、アルコール性および非アルコール性脂肪性肝炎、B型肝炎、C型およびその他が含まれる(2.3.)。

これらの臨床状態において、HAは、単独で、またはHAを主要な構成要素とするアルゴリズムモデルにおいて使用することが期待される。

本来、肝障害後に生成されたヒアルロン酸を含む過剰なECMは、修復プロセスが完了した時点で取り除かれる。進行性の肝硬変とは、長期におよぶ修復プロセスの欠陥による、慢性的な傷害および線維化の結果であることを考慮することが重要。

肝疾患におけるヒアルロン酸、APRI、GAPRI、HAPRI、FIB-4およびForn's指標の診断有用性について。

ヒアルロン酸およびGAPRIは、アルコール性肝硬変(両者100%の特異性を有する)を除外して、最高および同等の検出能力(両者の感度98.2%)を有する。さらに、Fornの指数およびGAPRIが、非アルコール性肝硬変を有する全ての患者を正しく同定することが示された(感度100%)。非アルコール性肝硬変を除外する能力では、Forn’s index, APRI, FIB-4 and HAPRI (in order dependent on the NPV)の4つの指標は100%の特異性を示した。中毒性肝炎の検出において、 GAPRI. GAPRI, APRI, HA およびHAPRIは、最も高い感度と100%の特異性を有しており、中毒性肝炎のないすべての患者を正しく同定する。

出典文献
Hyaluronic acid concentration in liver diseases
Monika Gudowska, Ewa Gruszewska, Anatol Panasiuk, et al.,
Clin Exp Med. 2016; 16(4): 523–528.
Published online 2015 Sep 9. doi: 10.1007/s10238-015-0388-8

1.
Rockey DC, Montgomery B. Noninvasive measures of liver fibrosis. Hepatology. 2006;43:S113–S120. [PubMed]

2.
Rossi E, Adams LA, Bulsara M, Jeffrey GP. Assessing liver fibrosis with serum marker models. Clin Biochem Rev. 2007;28:3–10. [PMC free article] [PubMed]

3.
McHutchison JG, Blatt LM, de Medina M, et al. Measurement of serum hyaluronic acid in patients with chronic hepatitis C and its relationship to liver histology. Consensus interferon study group. J Gastroenterol Hepatol. 2000;15:945–951. [PubMed]

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