末梢オキシトシン受容体はWDRニューロンへの侵害入力信号を抑制する [鍼治療を考える]

脊髄後角におけるオキシトシン受容体(OTRs)は、AδおよびC線維によって媒介されて侵害受容ニューロン発射を抑制することが示唆されている。

この研究の知見では、OTRs は皮膚を支配するCGRP作動性末梢神経において発現し、表皮表層における活性化によってC 線維放電の抑制を誘発して痛覚を抑制する。

OTの皮下注射は、ラットにおけるホルマリン誘発侵害試験のフェーズI(100μg/足;図2B)およびフェーズII(31および100μg/足;図2C)におけるflinching動作を防止した。

この抗侵害受容作用は局所的であるばかりでなく特異的でもある。なぜなら、最高用量のOTによって、運動協調試験に何ら変化を与えなかったからである。

強力かつ選択的な OTR 拮抗薬のL-368899 (10 および100μ g/前足) の皮下注射は、OT 誘発行動をブロックした。尚、この効果は、ホルマリン試験の第 II 相において明らかに観察された。興味深いことに、nocifensive反応の増加は、フェーズIIの、L-368,89910μg/足において誘発された。さらに、WDRニューロン群の神経活動を測定したところ、OT誘起 a 線維およびC 線維が前足への10μg L-368899 によってブロックされた。

RFの末梢電気刺激は、脊髄後角WDR細胞の明確なニューロン応答を誘発したが、OT(sc; 1〜56μg/50μL)の単回皮下投与後、AδおよびC線維の発火反応の用量依存的な減少が観察された。

末梢皮膚における OTRs の生理学的機能について、OT は培養ヒトケラチノサイトで発現し、外部刺激 (傷害に似た) に反応して放出される。鍼治療への応用を考えるには適切な刺激法とその効果を知ることが求められるが、残念ながら、この研究では調査されてはいないようだ。

オキシトシン(Oxytocin)は、アミノ酸残基9個からなる下垂体後葉ホルモンの1つ。オキシトシンは、もう1つの下垂体後葉ホルモンであるバゾプレッシン(Vasopressin;抗利尿ホルモン)と同様に、主に視床下部の視索上核および室傍核に局在する大細胞性神経分泌ニューロンの細胞体で産生される。

オキシトシンは、ギリシャ語okytokos(okys;速い, tokos;出産)に由来しており、子宮筋の収縮作用による分娩の促進および出産後の授乳時の射乳反射を惹起する。1953年に、動物のペプチドホルモンとしては最も早く構造が明らかにされたホルモン。しかし最近では、動物や人間においても脊髄レベルで鎮痛を誘発するため、興味深い分子として浮上している。

出典文献
Peripheral oxytocin receptors inhibit the nociceptive input signal to spinal dorsal horn wide-dynamic-range neurons.
González-Hernández, Abimaela; Manzano-García, Alfredoa; Martínez-Lorenzana, et al.,
PAIN: November 2017 - Volume 158 - Issue 11 - p 2117–2128
doi: 10.1097/j.pain.0000000000001024

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