退役軍人の慢性的筋骨格系痛にみる脳白質構造の崩壊 [医学一般の話題]

ペルシャ湾岸戦争(1990-1991)における700,000人の退役軍人の約25%に慢性的な筋骨格痛(CMP)が存在するが、痛みの原因は不明で効果的な治療法もないとのこと。少数の文献によって、湾岸戦争退役軍人(GV)の脳に異常が存在すると示唆されているが、症状との因果関係については未解明。

本研究は、GVCMPと健康なベテランコントロール(GVCO)の白質(WM)を比較して、脳の完全性と症状の関係を調べている。

30人のGVCMPおよび31人のコントロールに対し、拡散テンソルイメージングによる磁気共鳴イメージングを実施。脳を中心とした空間的統計量は、全脳におけるWMの分数異方性、平均拡散率、放射拡散率、および軸方向拡散率を推定し(P <0.05)、閾値のないクラスター増強を用いて補正。

GVCMPは、GVCOと比較して、より大きな疼痛症状、気分障害、より低い生活の質および身体機能を有していた(P <0.05)。

GVCMPは、慢性疼痛に関与する、中および下前頭回、脳梁、放射冠、前中心回旋、外嚢、および後方視床放射を含む領域の白質の完全性が低く(P <0.05)、広範な脳領域における微細構造の破壊が疼痛および気分症状と関連していた。

出典文献
Cerebral white matter structure is disrupted in Gulf War Veterans with chronic musculoskeletal pain
Van Riper, Stephanie M.a,b; Alexander, Andrew L.c; Koltyn, Kelli F.b; Stegner, Aaron J.a,b; Ellingson, Laura D.d; Destiche, Daniel J.c; Dougherty, Ryan J.b; Lindheimer, Jacob B.a,b,e; Cook, Dane B.a,b,*
PAIN: December 2017 - Volume 158 - Issue 12 - p 2364–2375
doi: 10.1097/j.pain.0000000000001038

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