後骨間神経絞扼性障害における近位橈骨神経病変 [鍼治療を考える]

橈骨神経の絞扼性障害には、肘の回外筋通過部位における後骨間神経の絞扼性障害である橈骨神経管症候群(後骨間神経障害症候群:PINS)と、これより中枢における圧迫である、高位橈骨神経絞扼性障害、および、さらに末梢における、橈骨神経浅枝(知覚枝)の絞扼性障害(異常感覚性手有痛症)があり、それぞれ単独の疾患名で呼ばれている(拙著:「絞扼性神経障害の鍼治療」を参照)。

しかし、高分解能磁気共鳴法による橈骨神経のvoxel(体積要素)正規化 T2信号の視覚評価と付加的定量分析によって、PINSの患者 (19名)の84%において、上腕レベルにおける近位橈骨神経病変(上腕橈骨関節より中枢8.3 ± 4.6 cm)が認められたと報告されている。

これらの病変のほとんどは(75%)特定の体性感覚パターンに従っているが、さらに猿位である後骨間神経の線維束が含まれていた。

これは、自著の中でも繰り返し述べていることではあるが、絞扼性神経障害の診察においては一カ所の絞扼の確認のみではなく、同一神経の中枢および末梢までも広く触診すべきことを示している。私も、上腕レベルへの施鍼も頻繁に行っているが、84%において、上腕レベルに病変が認められたとする結果は意外であった。

出版書籍のお知らせ

書籍名 : 絞扼性神経障害の鍼治療
著者名 : 小川義裕
発行所 : 虎の門針灸院
出版日 : 2015年3月22日初版
サイズ : B5版, 188ページ, 図34枚
ISBN 978-4-9908155-2-3
C3047 ¥ 8500 E

本書は市販はしておりませんが、個人的に販売しております。
購入方法は、カテゴリーの「出版のお知らせ」をご覧ください。

出典文献
Posterior interosseous neuropathy
Supinator syndrome vs fascicular radial neuropathy
Philipp Bäumer, Henrich Kele, Annie Xia, BSc, et. al.,
Neurology November 1, 2016 vol. 87 no. 18 1884-1891
doi.​org/​10.​1212/​WNL.​0000000000003287

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