COPDの合併症として痛みが浮上 [鍼治療を考える]

COPD(慢性閉塞性肺疾患:Chronic obstructive pulmonary disease)は、2015 年度の世界における疾患別死亡原因の第4位となっている。COPDとは、慢性気管支炎と肺気腫を統合した疾患概念であり、一度発症した場合には治癒することはなく、適切な治療法もない。

最近、このCOPDの合併症として「痛み」の存在が浮上しており、重度の場合、中等度の痛みの有病率は 66%(95% CI, 44%-85%)と報告されている(Annemarie L. Lee,他2015)。また、強い疼痛は、呼吸困難、疲労、生活の質の低下、および特定の合併症に関連付けられていた。しかし、研究報告は極めて少なく、さらに、COPDに伴う痛みの治療に関する文献は現時点では見つからない。

発症してからでは治すことはできない疾患ではあるが、症状だけでも鍼治療で軽減できないものかと考えている。COPDに対する鍼治療に関する報告では、歩行距離が伸びた程度で、呼吸機能の改善は認められない。

患者数の増加を見込んで、数年前に、呼吸機能を評価するために電子スパイロメーターを購入したが、予想したほどには患者は現れない。他の症状で来院した高齢者に聞いても、それらしい症状を訴える患者は発症率から予想されるような人数には到底およばない。一般に言われる程、この疾患が本当に多いのか疑問にさえ感じている。ともあれ、痛みに対しては手段はあるものと、治療法は考えているのだが、、。

当院で使用している、電子スパイロメーター。
電子スパイロメーター.png

引用文献
Pain and Its Clinical Associations in Individuals With COPD A Systematic Review
Annemarie L. Lee, Samantha L. Harrison, Roger S. Goldstein, et. al.,
Chest, May 2015Volume 147, Issue 5, Pages 1246–1258
DOI: http://dx.doi.org/10.1378/chest.14-2690

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