抗菌グッズの欺瞞性 [衛生製品・化粧品の問題]

 抗菌成分の含有を謳い文句にした各種のグッズが売られていますが、実際に感染症の頻度を減らせるかの検証がされているとは言えません。さらに、抗菌グッズには別の問題があります。CDC(アメリカ)は、消毒行為による耐性菌増加と交叉耐性、およびアレルギーとの関係を警告しています。

(追伸:2015年9月現在、アメリカでは、抗菌石鹸の製造販売は禁止されました。抗菌石鹸には効果が無いばかりではなく、有害性が認められているからです。)

Volume 18, Number 8 - August 2012
Research
VIM-2-producing Multidrug-Resistant Pseudomonas aeruginosa ST175 Clone, Spain

 抗菌グッズの効果を調査した研究報告(2004年)があります。

 238の家庭(1,178名)を対象にして、一般清掃、ランドリー、手洗いなどを抗菌成分入りと抗菌成分無しの製品にランダムに割り当てて調査(二重盲検ランダム化トライアル)。

 1週間に1回、電話によって、身体状況(症状は主に呼吸器症状)を調査。月1回の訪問、48週間調査。

 症状の発生率は、抗菌グループ33.1%、非抗菌性グループ32.3%と、治療群間に差はありませんでした。発熱、鼻水、咽頭痛、下痢、嘔吐、結膜炎などの個々の症状にも差はありませんでした(表)。

 さらに、調査期間を通して報告される症状数の違いも、両群に有意差は認められません(下図)。つまり、一般的な清掃や手洗いと違いはないのです。

Elaine L. Larson, Susan X. Lin, et al.
Effect of Antibacterial Home Cleaning and Handwashing Products on Infectious Disease Symptoms: A Randomized, Double-Blind Trial FREE
Ann Intern Med. 2 March 2004;140(5):321-329

 最近、抗菌用に使用が増加している、トリクロサンによる骨格筋、心筋への悪影響の可能性も指摘(in vitroの知見)されています。抗菌剤には注意が必要です。

Triclosan impairs excitation- contraction coupling and Ca2+ dynamics in striated muscle
PNAS August 13, 2012 Published online before print August 13, 2012, doi: 10.1073/pnas.1211314109

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