大気汚染は自己免疫疾患のリスクも高くする [医学一般の話題]

大気汚染による害は肺と心臓だけではなく、タバコの煙や産業排水に含まれるこの種の小さな粒子状物質への曝露は関節リウマチなどの自己免疫疾患の増加と関連していると報告されている。

PM 10のレベルが定期的に30μg/m3か超える地域ではこれよりも低い地域と比べ、7種の自己免疫疾患の有病率が12%高かったと、ヴェローナ大学のGiovanni Adami医師、PhDによって報告されている。同様に、PM2.5のレベルが長期間にわたって平均20μg/m3であった地域でも13%高かった。

また、慢性被爆による線量反応関係は、10μg/m3増分毎に自己免疫疾患のリスクが7%高くなた。

大気汚染に関する先行研究は、喘息や慢性閉塞性肺疾患などの肺疾患を中心としてきましたが、多くの研究によって、心血管へのリスクも発見されています。無論、喘息は自己免疫疾患でもあります。

ドイツのミュンヘン大学の、Schulze-Koops医学博士は、クリストファー・コロンブスに責任があるとの冗談を言いました。氏は、コロンブスが西半球の探検からタバコを持ち帰り、大陸全体の喫煙への執着を引き起こすまで、関節リウマチはヨーロッパでは知られていなかったと述べた。

但し、関節リウマチは高い相関性を示し、全身性硬化症とIBDも関連したが、他のいくつかは汚染曝露と相関しておらず、疾患によって違いが見られる。

また、この研究の統計分析には、年齢、ステロイド治療、併存疾患、診断を提供する医師の専門性など、多くの補助因子の調整が含まれている。

さらに、肺への粒子状物質の曝露が他の身体系における自己免疫反応を引き起こすことが示唆されている。この関係性が真に因果関係を反映しているのであれば非常に興味深く、その経路を明らかにするための研究が期待される。

出典文献
Air Pollution and Illness: It's Not Just the Lungs and Heart Anymore
— Expanding range of conditions caused or aggravated by fine particulates
by John Gever, Contributing Writer, MedPage Today June 1, 2022

Primary Source
European Alliance of Associations for Rheumatology
Source Reference: Adami G, et al "Association between long-term exposure to air pollution and immune-mediated diseases: a population-based cohort study" EULAR 2022; Abstract OP0071.