1つのスポーツに特化した子供たちは怪我や燃え尽き症候群のリスクが高い [医学一般の話題]

全米アスレティックトレーナーズ協会(NATA)が主催したディスカッションで、専門家のパネリストらは、幼い頃から1つのスポーツに特化すると、怪我や燃え尽き症候群など、子どもの健康に長期にわたる悪影響をもたらす可能性があると述べました。

早期から専門化をせず、幼少期に複数のスポーツをプレイすることは、ほとんどのスポーツにおいて成績の向上と怪我のリスクの低下につながることが研究で示されています。これは昔から言われていたことです。その昔、東ドイツやソ連では、幼少期には運動神経の向上を目的とする遊びを中心とした複合的な運動をさせていました。幼少期から特定の種目に特化することはせず、筋力強化を目的とする訓練もしませんでした。

子供たちが特定のスポーツのスキルを身につける前に総合的な運動能力の基礎を構築することが重要で、その結果、様々なスポーツのスキルをより簡単に習得できるようになります。さらに、筋や骨への負担をかけないことで、未だ完成前の関節(関節の骨が完成するのは15歳)を保護して傷害のない健全な成長が得られます。

特に、小学生に勝利を目的とする試合をさせることは危険な行為であり、子供の将来を潰す可能性があります。例えば、サッカーにおけるシュートは脊椎分離症を引き起こすため、小学生にさせるべきではありません。

子供たちを危険なスポーツから守ることを目的とした参加制限に関する具体的な推奨事項が医療従事者の間で認識されていないため、これらの基準を維持することが困難になる可能性があると指摘されています。全米小児看護実践者協会を含むいくつかの専門組織のメンバーを調査したところ、子どもがスポーツに参加するための年間最大月数の推奨事項を知っていた看護師はわずか17.9%だったとのことです。

引用文献
Kids Specializing in One Sport More at Risk for Injury and Burnout, Experts Say
— Expert panelists want to increase awareness among healthcare providers
by Michael DePeau-Wilson, Enterprise & Investigative Writer, MedPage Today October 20, 2023