インターフェロン遮断薬がマクロファージ活性化症候群を寛解させた [医学一般の話題]

小規模試験の結果、リウマチ性疾患の重篤な合併症であるマクロファージ活性化症候群 (MAS)の治療にインターフェロン-ガンマ(IFNγ)阻害剤の有望性が示された。

MAS は疾患名ではなく、“過剰な炎症状態”を指す病態名で、全身性若年性特発性関節炎 (sJIA) および成人発症スティル病 (AOSD) の合併症でしばしば重症となり致死的な経過をたどるため、ステロイドなどによる強力な免疫抑制療法が行われる。

この研究の目的は、インターフェロン-ガンマ(IFNγ)の阻害剤であるエマパルマブ(Gamifant)の有効性と安全性を評価すること。その結果、高用量のコルチコステロイドに反応しなかったMASの患者 14 人中13 人が、エマパルマブにより中央値 25 日間で寛解を達成した。

結論として、エマパルマブによる IFNγ の中和は、高用量グルココルチコイドに失敗した患者の sJIA または AOSD に続発する MAS を迅速に寛解させる。

MAS は疾患名ではなく,“過剰な炎症状態”を指す病態名であり、外因子(ウイルス,細菌,真菌などの感染因子や薬剤)や内因子(自己細胞のapoptosisやnecrosis により生じる破砕物など)によって活性化された、樹状細胞やマクロファージから産出される炎症性サイトカインの過剰状態(cytokine storm)による病態がMAS である。

MAS にかかわる炎症性サイトカインはinterferon(IFN)-γ、interleukin(IL)-1β、IL-6、IL-18、TNF-αなど。本症は、全身型の若年性特発性関節炎(JIA)や成人発症Still 病などの自己免疫・炎症疾患を基盤とすると考えられてきたが、一次性(遺伝性)および二次性(感染症、腫瘍性疾患、自己免疫・自己炎症疾患など)血球貪食リンパ組織球症(HLH)と多くの点で類似している。また、急性リンパ性白血病の治療薬として開発された生物学的製剤の1つである、blinatumomab の治療中に生じる“cytokine release syndrome”もMAS とする考え方も提案されているとのこと。

私は、恥ずかしながらこの疾患を知らなかったので何も言えませんが、自己免疫疾患による炎症を寛解できるのであれば素晴らしいことであり、多くの患者さんにとって吉報と言えます。

出典文献
Efficacy and safety of emapalumab in macrophage activation syndrome
De Benedetti F, et al
Ann Rheum Dis 2023; DOI: 10.1136/ard-2022-223739. http://orcid.org/0000-0002-9834-9619