アルツハイマー病患者への抗アミロイドベータ薬は脳萎縮を加速する [薬とサプリメントの問題]

抗アミロイドベータ(抗 Aβ)療法は、脳萎縮を加速することによってアミロイド関連画像異常 (ARIA)を悪化させて脳の健康を損なう可能性が明らかになった。

PubMed、Embase、Clinicaltrial.govのデータベースで抗 Aβ薬の臨床試験を検索して、システマティック レビューとメタ分析を行った。抗 Aβ薬のランダム化比較試験に登録された成人n = 8062 ~10279人が対象となり、レビューされた145 件の試験のうち31 件が最終分析に含まれた。

海馬、心室、および全脳に対する各試験の最高用量に関するメタ分析により、抗 Aβ 薬のクラスによって異なる薬物誘発性の体積変化の加速が明らかになった。セクレターゼ阻害剤によって、海馬では平均差 -37.1 µL (プラシ-ボに対して -19.6%)、95% 信頼区間: -47.0 ~-27.1)、および全脳では-3.3mL (プラシーボに対して-21.8%)、(95% confidence interval: -4.1 to 2.5)。

逆に、ARIA を誘発するモノクローナル抗体は、心室拡大を加速し (平均差: +2.1mL、プラシーボに対して +38.7%)(95% 信頼区間: 1.5 ~ 2.8)で、心室容積と ARIA 周波数との間に顕著な相関関係が観察された ( r = 0.86、p = 6.22x10-7)。

抗Aβ薬で治療された軽度の認知障害のある参加者は、治療を受けていない場合よりも約8か月早く、アルツハイマー型認知症に典型的な脳容積への物質的な退行が予測された。

この分析結果は重要な問題を提起している。抗アミロイドベータ(抗 Aβ)薬によってARIA出現し、アルツハイマー患者の脳容積の減少などの神経変性を悪化させ、さらに、心室容積の増加というリスクも加え、臨床転帰を悪化させる可能性があるという警告である。

そもそも、アミロイドβの蓄積を原因とする仮説の発端となった研究論文が全くの捏造であったことが明らかになっている。また、これまでの数兆円におよぶ研究開発費は全て無駄になった。しかし、この仮説は未だ破棄されたようには見えない。

出典文献
Accelerated Brain Volume Loss Caused by Anti–β-Amyloid Drugs: A Systematic Review and Meta-analysis
Francesca Alves, Pawel Kallinowski, Scott Ayton
First published March 27, 2023, DOI: https://doi.org/10.1212/WNL.0000000000207156