地球の生物は後どれくらい生きられるのだろうか [らくがき]

地球上の生物種の絶滅速度が増していると危惧されており、その責任の多くが人類にあると信じられている。確かに、人類による環境破壊などの影響が相当大きいであろうことは想像できる。しかし、はたしてそうだろうか。現在、この地球上で確認されている生物種の総数は約175万種であり、まだ知られていない生物も含めると地球上の総種数は500万~3,000万種と言われている。歴史的には、合計で約5億種が出現しており、現在約500万種が存在していると仮定すると、生き残っているのは総数の1%に過ぎないことになる。

したがって、そう遠くない将来に、人類を含め地球上から全ての生物が消滅する日が訪れることが予想される。過去における数回の大量絶滅の原因は隕石の衝突など様々で一概には判断できないが、その多くは、人類によるものと言うよりは生命というシステムに内在する必然的要因にあると考えられる。

生命とは、非常にコストが高いシステムであり、多量のエネルギーの供給を得て初めて必要な代謝が保証される。例えば、光合成は多くの生物を支える植物の機能であるが、そのエネルギー変換効率は低く、降り注ぐ太陽光から有機物の生成に利用されるのはわずか1%程度である。

海底の熱水噴出孔から出る硫化水素を利用して生きる、ごく少数の極限環境生物を除いて、地球上のほぼすべての生物は太陽光をエネルギー源としている。全ての運動が摩擦による抵抗によってやがて停止するように、例え、生態系が非線形の開放系であったとしてもその営みにも終息の時は来るだろう。

さらに最近は、寒気がする程の恐怖を感じている。その1つは、「クリスパーCas 9」と呼ばれる遺伝子編集技術の登場だ。中高生レベルでも、簡単に安価に遺伝子の編集が可能な時代に突入した。遺伝子の異常による疾患の治療や農作物の改良など、その効用は計り知れない。しかし、その技術が、人類にとっても地球上のあらゆる生物にとっても福音となるか厄災となるかは人類次第である。ノーベル賞を受賞した発明ではあるが、アメリカの諜報機関は「第6の大量破壊兵器」であると指摘しているとか。クリスパーCas9によって作り出された新たな遺伝的特性が、市場原理に基づいて金儲けや軍事目的として売買される。一度、世に出てしまった科学技術はそれ以上の発明が出ない限り放棄されることは無い。この発明が、やがて人類自身を含む地球上の生物を破滅へと追い込むことが危惧される。