頭蓋内アテローム性動脈硬化に対する血管形成術およびステント留置は推奨されない [医学一般の話題]

症候性重症の頭蓋内アテローム性動脈硬化狭窄症による一過性虚血発作または虚血性脳卒中の患者に対し、事象の3週間以上後に標準療法とともに血管形成術およびステント留置を追加することで、脳卒中または死亡のリスクを低減できるかを調査した研究の結果優位性はなく、3年時の死亡率は約3倍以上高くなった。

本研究は、中国における8つのセンターで実施された多施設、オープンラベル、無作為化、結果評価者 - 盲検試験。期間は、2014年3月5日から2016年11月10日まで。重度の頭蓋内狭窄症(70%~99%)に起因する虚血性脳卒中の患者(非脳幹または非大脳神経節末動脈と定義)380人中、適格と判断された358人を対象として実施し、3年間追跡調査した(最終追跡調査: 2019年11月10日)。

介入は、内科的療法+ステント留置(n = 176)または内科的療法単独(n = 182)。内科的療法には、90日間の二重抗血小板療法(その後の単一抗血小板療法)および脳卒中危険因子制御が含まれていた。

343人(95.8%)が試験を完了し、ステント留置+内科療法群と内科療法単独群では、脳卒中または死亡のリスクの主要転帰について有意差は認められなかった(8.0% [14/176] vs 7.2% [13/181];差、0.4% [95% CI, -5.0% to 5.9%]; ハザード比、1.10 [95% CI, 0.52-2.35];P = 0.82)。

3年時の死亡率は、ステント留置+内科療法群では4.4%(7/160)であったのに対し、内科療法単独群では1.3%(2/159)と、その差は3.2%(95%CI、-0.5%~6.9%)で、ハザード比は3.75(95%CI、0.77-18.13;P = 0.08)。

要約のみであることや、評価が脳卒中の発生と死亡のみで脳機能については触れていないため、詳しいことは判らないが、血管形成術とステント留置後の3年時点の死亡率が高くなったことは問題であり、その原因を追求すべきである。

出典文献
Effect of Stenting Plus Medical Therapy vs Medical Therapy Alone on Risk of Stroke and Death in Patients With Symptomatic Intracranial Stenosis
The CASSISS Randomized Clinical Trial
Peng Gao, Tao Wang, Daming Wang, et al.
JAMA. 2022;328(6):534-542. doi:10.1001/jama.2022.12000