地中海型食餌療法はアルツハイマー病を抑制するか [栄養の話題]

ドイツにおける“cross-sectional analysis縦断的分析”によれば、地中海型食餌療法( Mediterranean-style diet)を厳密に実施した人々は、アミロイドとタウの病状が少なく、脳容積が増加して記憶力が向上したことが示されている。

参加者には、認知的に正常な169人と、アルツハイマー病(AD)リスクの高い被験者(53人のAD近親者、209人のSCDおよび81人のMCI)が含まれていた(n = 512、平均年齢:69.5±5.9歳)。食品頻度アンケートに基づいてMeDiの順守を定義。脳のボリュームは、T1-MRIのボクセルベースの形態計測と広範な神経心理学的認知能力を介して評価。。脳脊髄液中のAD関連バイオマーカー(Aβ42/ 40比、pTau181)は226人について評価。

参加者は、6つの食品カテゴリー(魚、野菜、果物/ナッツ、マメ科植物、シリアル、および一価不飽和/飽和脂肪の比率が高い)の性別の中央値以上でスコア1を獲得。また、地中海型の食餌に典型的ではない食品(肉、乳製品)がカットオフ値を下回ったときにスコア1を獲得。 適度な飲酒(男性で10〜50 g /日、女性で5〜25 g /日)は有益であると見なし、1ポイントを獲得。

地中型の食餌の順守は、右海馬傍回および右海馬における脳灰白質量と有意に相関し、年齢、性別、教育、BMI、カロリー摂取量、および身体活動を調整後、より良い記憶(β= 0.03±0.02、P = 0.038)と相関。p-tau181のCSF測定値(β= -1.96±0.68、P = 0.004)およびAβ42/ 40比(β= 0.003±0.001、P = 0.008)。

個々の食事成分の探索的分析は、一価不飽和/飽和脂肪比とp-tau181およびAβ42/ 40との間の有益な関係を示唆。

しかし、著者らも述べているように、サンプルがアルツハイマー病のリスクについて濃縮されており、調査結果が一般集団に当てはまらない可能性がある。また、食物摂取量は自己申告によるもので、ある時点でのみ評価されているなどに限界がある。これらの観察結果は仮説を立てるのに役立つが、因果関係を問うことはできない。

追伸
地中海型食餌:Mediterranean-style diet
しつこいようだが、日本人が良く使う、減量としての「◯◯ダイエット」は、日本人得意のデタラメ言葉。“diet”とは、減量のことではなく、「食餌」を意味する。

出典文献
Mediterranean Diet, Alzheimer Disease Biomarkers and Brain Atrophy in Old Age
Tommaso Ballarini, Debora Melo van Lent, Julia Brunner, Alina Schröder, et al,.
Neurology 2021; DOI: 10.1212/WNL.0000000000012067.

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