ChAdOx1nCoV-19ワクチンはB.1.351変異体に対して効果を示さなかった。 [薬とサプリメントの問題]

オックスフォード-アストラゼネカ社製、チンパンジーアデノウイルスベクターワクチン(ChAdOx1 nCoV-19vaccine:AZD1222)の安全性と有効性を評価するために、南アフリカにおけるヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染していない人々を対象にして多施設二重盲検無作為化対照試験が実施された。

その結果、ChAdOx1 nCoV-19ワクチンの2回投与は、B.1.351変異体による軽度から中等度のCovid-19に対して保護効果を示さなかった。

一次エンドポイント分析では、軽度から中等度のCovid-19がプラシーボレシピエント717人中23人(3.2%)、ワクチンレシピエント750人中19人(2.5%)発症し、有効性は21.9%(95% confidence interval [CI], −49.9 to 59.8)。 Covid-19の42人の参加者のうち、39人(92.9%)がB.1.351変移体によって発症。 二次エンドポイントとして分析されたこの変異体に対するワクチンの有効性は、わずか10.4% (95% CI, −76.8 to 54.8)。

Covid-19の発生の第Ⅰ波の後に自然感染によって誘発された抗体のB.1.351変異体に対する中和活性の同様の喪失が報告されている(1.)。

但し、ChAdOx1 nCov-19ワクチンが、B.1.351変異体の感染によって引き起こされる重度のCovid-19から保護できるかどうかに関しては不明。

mRNA Covid-19ワクチンは、初回投与後は中程度の中和抗体活性を示すが、ChAdOx1nCoV-19および異種SputnikV(アデノウイルス-26とそれに続くアデノウイルス- 5ベクター)Covid-19ワクチン。5,6,9B.1.351バリアントに対する2つのmRNAワクチンの中和活性も、8.6倍(mRNA-1273ワクチン[Moderna])または6.5倍低い 6.5 (BNT-162b2 ワクチン[Pfizer])ことが観察されている。 (BNT-162b2ワクチン[Pfizer])偽ウイルス中和アッセイでは、D614Gウイルスに対する活性よりも、N510Y.V1(B.1.1.7)のような変異体に対しては明らかな違いはない(2.)。

ヒト中和抗体反応に対する相対的な耐性は、自然感染またはワクチン接種後の免疫にもかかわらず感染する可能性のある変異体を選択するようウイルスに圧力をかけた結果として、今後数年間でパンデミックコロナウイルスの特徴になることが予想される。 ChAdOx1 nCoV-19ワクチンの有用性についても、B.1.351変異体の継続的な世界的な広がりとコミュニティ感染、および同様の変異を含む他のSARS-CoV-2系統の進化の文脈で検討する必要がある。

出典文献
Efficacy of the ChAdOx1 nCoV-19 Covid-19 Vaccine against the B.1.351 Variant
Shabir A. Madhi, Vicky Baillie, Clare L. Cutland, Merryn Voysey, Anthonet L. Koen, et al,
The New England Jounal of Medicine, March 16, 2021 DOI: 10.1056/NEJMoa2102214

1.
Escape of SARS-CoV-2 501Y.V2 variants from neutralization by convalescent plasma.
Cele S, Gazy I, Jackson L, et al.
January 26, 2021 (https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2021.01.26.21250224v1. opens in new tab). preprint. Google Scholar. opens in new tab

2.
Neutralizing activity of BNT162b2-elicited serum,
Liu Y, Liu J, Xia H, et al. .
N Engl J Med. DOI: 10.1056/NEJMc2102017.

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