抗血管新生薬(抗癌剤)は動脈解離または動脈瘤に関連する [薬とサプリメントの問題]

癌治療に対する150万以上の副作用を含む「pharmacovigilance study」において、抗血管新生薬を服用している癌患者の間で多くの動脈瘤と動脈解離が報告された。

WHOのVigiBaseデータベースの分析では、動脈解離または動脈瘤は、他の抗癌剤と比較して、抗血管新生剤による報告例はほぼ3倍であった(比例報告率2.76、95%CI 2.48-3.07;ベイズ情報量成分1.14、95 %信頼区間0.99-1.25フランスのボルドー大学病院Pernelle Noize, PharmD,PhD,)。

このクラスの14の個別の薬剤は、VEGF inhibitors;VEGF阻害剤であるbevacizumab (Avastin)、 ramucirumab (Cyramza)、the tyrosine kinase inhibitors (TKIs);チロシンキナーゼ阻害剤 sunitinib (Sutent), pazopanib (Votrient), axitinib (Inlyta), nintedanib (Ofev), and lenvatinib (Lenvima)、multikinase inhibitor ;マルチキナーゼ阻害剤cabozantinib (Cometriq, Cabometyx)、およびmTOR inhibitor;mTOR阻害剤everolimus (Afinitor)。これらの薬剤の多くは、大動脈と脳のイベントにも関連していた。

VEGF阻害剤が最も一般的に関与する抗血管新生剤(51.4%)であり、TKI(35.8%)およびmTOR阻害剤(11.5%)がそれに続く。個々の薬剤については、ベバシズマブ(44.9%)、スニチニブ(14.4%)、およびエベロリムス(11.1%)がこれらのイベントに最も頻繁に関連し、発症までの期間の中央値は89日(四分位範囲27-212)。

「JAMA Oncology」の調査結果によると、これらの薬剤に関連する約500例の動脈解離または動脈瘤のうち、88.3%が重篤で、24.3%が致命的、17.8%が生命を脅かすと考えられ、24.7%が入院につながるか長期化した。

潜在的なリスクを確認および定量化するには人口ベースの研究が必要である。しかし、カナダとヨーロッパの機関は、動脈解離または動脈瘤のリスクがある個人において、そのメカニズムが何であれ、抗血管新生薬の慎重な使用を保証すると述べている。

Noizeと共著者は、抗血管新生薬と動脈解離または動脈瘤との関連はほとんど文献になく、これまでに報告された症例はごくわずかであるため、この設定では「悪名高いバイアスは起こりそうにない」と述べた。

「血管内皮増殖因子の遮断は、一酸化窒素合成阻害と組織毛細血管の希薄化を通じて、動脈解離または動脈瘤、特に高血圧に有利な状態を引き起こす可能性がある。」とグループは述べている。尚、著者らは、捕捉されなかった他の患者の危険因子(喫煙や管理されていない高血圧など)もイベントに寄与している可能性があることも認めている。

高血圧は症例の10.3%で報告され、哺乳類のラパマイシン標的(mTOR)阻害剤を投与された患者の3.5%で報告された。

他のメカニズムとして、血管壁の血液供給を変化させて急性破裂を引き起こす可能性のある、脈管の希薄化を引き起こす。分解酵素(すなわち、エラスチンおよびコラーゲン)は、マトリックス構造を弱める可能性。血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤による血管老化の誘導などが考えられる。

いずれにせよ、薬剤の作用は癌細胞が誘導する血管新生のみならず、他の多くの血管にまでおよぶことは明らか。害が無いことはあり得ない。抗血管新生剤に固執する根拠があるのか疑問。

出典文献
Class of Cancer Drug Linked to Aneurysms, Artery Dissections
— Database analysis finds more reports than expected with antiangiogenic drugs
by Ian Ingram, Deputy Managing Editor, MedPage Today March 18, 2021

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