インフルエンザ予防接種は心不全患者の死亡リスクを下げると報告 [医学一般の話題]

インフルエンザワクチン接種と心不全( HF)患者の転帰との関連について調査した、デンマークにおける大規模コホート研究(n=134,048)の結果、予防接種の年数が長いほど、また、シーズンの早期段階ほど、全原因および心臓血管死のリスクが低くなると報告されている。

平均フォローアップ (99.8%)は3.7年 (四分位間の範囲、1.7-6.8 年)。研究コホートのワクチン接種率は、研究期間中に 16% から 54% に増加。

接種日、併存疾患、投薬、世帯収入、および教育レベルの調整後、1以上の予防接種を受けた場合、死亡リスクは 18% 減少(all-cause: hazard ratio, 0.82; 95% CI, 0.81-0.84; P<0.001; cardiovascular causes: hazard ratio, 0.82; 95% CI, 0.81-0.84; P<0.001)。

年間の予防接種 (9 月から10月) とワクチン接種の累積数は、断続的なワクチン接種と比較して死亡リスクのより大きな減少と関連していた(この要約には、数値は記されていない。)

この研究で示されたリスク低減効果は、β遮断薬と ACE 阻害薬で見られる 20 ~ 25% の死亡率の低下とほぼ同等であり、心不全患者のためのインフルエンザ接種の利点を示唆している。しかし、無作為化対照試験とは違い、観察研究では因果関係は不明であるため直接的な効果は証明できない。

心不全患者は、感染症に対する感受性が増加した脆弱な集団であることからも、インフルエンザ予防接種の安価で迅速な効果は重要と思われる。

出典文献
Influenza vaccine in heart failure: cumulative number of vaccinations, frequency, timing, and survival. a danish nationwide cohort study,
Daniel Modin, Mads Emil Jørgensen, Gunnar Gislason,et al.,
Circulation 2018; DOI: 10.1161/CIRCULATIONAHA.118.036788.

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