喫煙は左心室肥大, 収縮機能不全, 心不全入院の危険因子と報告 [医学一般の話題]

参加者は、ベースライン時に心不全(incident heart failure;HF)または冠状動脈性心疾患の既往歴のない4129人(喫煙なし2884人、現在の喫煙者503人、元喫煙者742人)の黒人(平均年齢54歳、女性63%)。

交絡因子を調整した後、現在の喫煙は禁煙と比較して、平均左心室マス指数(mean LV mass index)が高く、平均左心室円周歪(mean LV circumferential strain)はより低かった(P <0.05)。喫煙状況、強度、および負担は平均脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)レベルの上昇と関連していた(すべてP <0.05)。

8.0年間(中央値7.7-8.0)の追跡調査で、147件の心不全入院があった。心不全による入院との関連性では、現在の喫煙者の喫煙強度が、タバコ20本以上/日でハザード比3.48(95% confidence interval, 1.65-7.32)と、約3.5倍。≥15 pack-years.では、ハザード比2.06(95% confidence interval, 1.29-3.3)。

タバコの喫煙が左心室の構造と機能に悪影響を与え、結果として心不全発症のリスク増加に関与する。

但し、参加者が黒人のみであることにこの研究の限界がある。また、いつも思うことだが、「タバコの喫煙」として、単純に十把一絡げに扱って良いのか疑問。

BNPは、心不全によるうっ血を解消するために心臓内で生成されるホルモンで、血管の拡張と強い利尿作用を有するとともに、交感神経やレニン・アルドステロン系を抑制して心臓を保護する。このBNPは、心不全の指標として使われ、基準値は20pg/mL以下。Abstractのみ読んでおり、数値が記されていないため詳細は不明。

出典文献
Cigarette Smoking and Incident Heart Failure: Insights From the Jackson Heart Study
Daisuke Kamimura, Loretta R. Cain, Robert J. Mentz, et al.,
Circulation. 2018;CIRCULATIONAHA.117.031912
https://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.117.031912

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