大気汚染はTLR4を活性化して認知症リスクを増加させる [医学一般の話題]

従来の研究から、交通関連による大気汚染は、人の認知機能老化を加速して認知症リスクを増加させ、高齢者への微小粒子状物質(PM2.5)の高レベル暴露は認知機能低下に関連していることが示唆されている。

この研究では、ナノ粒子状物質(nPM; diameter <0.2 μm)に対する RNA 応答を混合グリア培養(astrocytes and microglia)によって検討している。

マイクロアレイの有意性解析(significance analysis of microarrays ;SAM)と重み付き遺伝子の共発現ネットワーク解析(weighted gene co-expression network analysis ;WGCNA)で、Toll様受容体(Toll-like receptor 4;TLR4)とNF-κB がnPMとlipopolysaccharide (LPS) によって強力に活性化された。

in vitro において、TLR4siRNAによって、MyD88依存性経路を介してTNFαおよびその他の炎症反応が減衰した。

in vivoにおいては、慢性的にnPMに曝露されたマウスは、TLR4、MyD88、TNFα、およびTNFR2 RNAが増加し、海馬におけるTRAF6 RNA TLR4、および NF-κB 反応が減少した。

Toll-like receptor (TLR)
TLRは、動物の細胞表面にある受容体タンパク質で、種々の病原体を感知して自然免疫を作動させる。

siRNA(small interfering RNA)
siRNAは21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNAで、RNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与し、mRNAを破壊して配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。

出典文献
Toll-like receptor 4 in glial inflammatory responses to air pollution in vitro and in vivo
Nicholas C. Woodward, Morgan C. Levine, Amin Haghani, et al.,
Journal of Neuroinflammation201714:84 DOI: 10.1186/s12974-017-0858-x

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