カルシウム摂取量の増加には骨密度減少予防効果は認められない [栄養の話題]

食物源およびサプリメントからのカルシウム摂取量の増加による骨ミネラル密度(BMD)の変化を調べた研究の結果、骨密度は増加したものの、骨折リスクを減少させる程の効果は無いと報告されています。

この研究は、Medline, Embase, Pubmedなどから、59の適格なランダム化比較試験を同定してメタ分析したものです。食物源からのカルシウム摂取量の増加(n=1,533)、サプリメント(n=12,257)。

食物源のBMD増加は、股関節および体全体の1年後0.6-1.0% 、腰椎および大腿骨頚部の2年後0.7-1.8%。前腕では差は無し。

カルシウムサプリメントは、5骨格部位1年後で0.7-1.8%の増加で、その後も同様。

また、BMD増加は、カルシウム単独vsビタミンD同時投与, ≧1000 vs <1000 mg/day, ≦500 vs >500 mg/day, >1000 vs <1000 mg/day, ≦500 vs >500 mg/day, およびベースライン時のカルシウム摂取量<800 vs >800 mg/dayの何れも同様。

結論として、骨密度の増加は1%弱から2%に過ぎず、骨そしょう症予防としてのカルシウム摂取の増量にはほとんど効果は無いと言えます。

高齢者では、少なくとも1000-1200 mg /日のカルシウム摂取量を維持することが推奨されてきました。しかしこの推奨量は、欧米における高齢者のカルシウム平均摂取量の700~900 mg /日に比べてかなり高い量です。

最近では、カルシウム摂取量の増加による僅かな骨折減少に対して、便秘などのマイナーな副作用だけではなく、重篤な副作用である心血管イベント、腎臓結石、および急性消化管症状による入院など、カルシウムサプリメントのリスクに対する懸念が浮上しています。

出典文献
Vicky Tai, William Leung, Andrew Grey, et al.,
Calcium intake and bone mineral density: systematic review and meta-analysis
BMJ 2015; 351 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h4183 (Published 29 September 2015)
Cite this as: BMJ 2015;351:h4183

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