アセトアミノフェン(パラセタモール)は急性腰痛に効果無しと報告 [薬とサプリメントの問題]

オーストラリアのシドニーにおける235のプライマリケアセンターにおいて実施された、多施設、二重盲検、無作為化プラシーボランダム化対照試験の結果、急性腰痛に対するパラセタモールの効果はプラシーボと同様であり効果は無かったと報告されています。

パラセタモール(アセトアミノフェンの一般名。アメリカではタイレノール、旧大英帝国圏ではパラセタモール。一般名の違いは、化合物名“para-acetylaminophenol”の省略の仕方の違いによります。

イギリスやオーストラリアでは急性腰痛治療薬として推奨されていますが、エビデンスは不十分でした。

参加者は標準群550名(分析550名)、必要に応じ処方された群549名(分析546名)、およびプラシ-ボ群553名(分析547名)に無作為に割り付けて実施。

標準群のパラセタモール投与は4週間までで、1日3回、1日あたり3990mg。応必要群では1日あたり最大4000 mgを投与。

標準群の回復までの中央値は17日 (95% CI 14-19)、応必要群では17日 (15-20)と、全く変わらず、プラシーボ群でも16日 (14-20)でいずれも同等でした。
(regular vs placebo hazard ratio 0.99, 95% CI 0.87-1.14; as-needed vs placebo 1.05, 0.92-1.19; regular vs as-needed 1.05, 0.92-1.20)(adjusted p = 0.79)。

ベースライン時の平均疼痛強度スコアは6.3( a scale of 1 to 10)で、痛みの発症歴期間は10日。

治療1週の平均疼痛強度は、標準群3.7、応必要群3.8、およびプラシーボ群3.6でした。2週目では、治療群は同様に2.6、プラシーボ群は2.5。4週目では、スコアはそれぞれ1.7、1.8、および1.7でした。

障害スコアは 0~24、機能スケールは 0~10で評価(いずれも数値が高いほど、障害および機能も高くなる)。

ベースライン時の平均障害スコアは12.7で、機能スコアは3.6でした。

障害スコアも同様に、それぞれ、1週の7.7、8、8.3から、4週で3.2、3.5、3.3、3ヶ月で、2.4、2.6、2.4と、減少は全ての群で同程度でした。

機能スコアも、1週の6.2、6.1、6.2から、3ヶ月では全てが全く同様に8.7に増加。

有害事象も、標準群99 [18.5%]、応必要群 99 [18.7%]、プラシーボ群 98 [18.5%]と同等でした。

パラセタモールも、アメリカで一般的に使用されているタイレノールも、中身はアセトアミノフェンです。消炎効果はほとんど無く、鎮痛効果も弱い薬品です。また、過剰に摂取した場合には肝障害を引き起こします。小児や成人でアセトアミノフェンしか飲めない人に対する投与は理解できるのですが、推奨されている理由が解りません。

出典文献
Williams C, et al.
Efficacy of paracetamol for acute low-back pain: a double-blind, randomized controlled trial Lancet 2014; DOI: 10.1016/S0140-6736(14)60805-9.
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0