ω-3 多価不飽和脂肪酸の消費は ALS 発症率減少に関連すると報告 [栄養の話題]

食事由来長鎖多価不飽和脂肪酸 (Pufa)のω-6 と ω-3の消費量と、筋萎縮性側索硬化症(ALS)発症リスクとの関係を調査したところ、ω-3消費量が多いとリスクは34%減少しました。

研究デザインは、縦断的前向きコホート(健康-AARP 国会機関と健康研究、がん予防研究 II 栄養コホート、医療専門家のフォロー アップ研究、多民族コホート研究、看護師健康調査。ダイエット食物頻度アンケート)。

食餌変数調整後のエネルギー摂取量を5分位に分類。メインアウトカムは、ALS発症率や死亡転帰。ランダム効果メソッドを使用したプール化と、コックス比例ハザード回帰による推定。

参加者は1, 002, 082名で、フォローアップ中に995名が発症。

ω 3 PUFA 摂取量の最高5分位を最低と比較した、ALS発症の調整後リスク比(RR),は 0.66 (95% CI, 0.53-0.81; P<0.001 for trend)で、34%減少。

尚、両方のα-リノレン酸の消費量では、RR, 0.73(95% CI, 0.59-0.89; P=0.003 for trend)で、27減少と、効果は低下し、Ω-6 多価不飽和脂肪酸単独では ALSのリスクに関連付けられていません。

ALSは、平均罹病期間が3~5年と、予防も治癒もできない重度進行性の難病です。上位、下位運動ニューロンを系統的におかす変性疾患で、大脳皮質運動領野Betz細胞、錐体路、下部脳幹の運動性脳神経核、および脊髄前角細胞の著明な変性脱落を特徴とします。

有病率は世界の各地域ともほぼ同一で、0.8~6.4/10万人、年間発病率0.4~2.6/10万人であり、本研究の100万人当たり995名は通常の10倍以上と多い数値となっています。しかし、グアム島と日本の紀伊半島、西ニューギニアのように、有病率が他地域の10数倍~100倍と極めて高い多発地域も存在しますので、あり得ないとは言えません。

結論として、ω 3 PUFAを多く摂取することで発症リスクは低減できそうですが、あくまでもリスク比の低下であることに留意すべきです。有病率が低い場合、発症のリスク比が多少低減してもさほどの違いはありません。

出典文献
Kathryn C. Fitzgerald, Eilis J. O’Reilly, et al.
Dietary ω-3 Polyunsaturated Fatty Acid Intake and Risk for Amyotrophic Lateral Sclerosis
JAMA Neurol. Published online July 14, 2014. doi:10.1001/jamaneurol.2014.1214
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