急性上部消化管出血における輸血戦略はヘモグロビン閾値7 g以下が優位 [医学一般の話題]

急性消化管出血患者における赤血球の輸血について、指標となるヘモグロビン閾値が物議を醸しているようです。この研究では、ヘモグロビン閾値を7 g per deciliter以下で輸血を行う「限定的な輸血戦略」の方が、9 g per deciliter以下とする「リベラルな輸血戦略」よりも生存率は高くなりました。

重症急性上部消化管出血の患者921名を登録し、ランダムに「限定的な戦略」461名と「リベラルな戦略」460名に割り当てました。ランダム化は、肝硬変の有無に応じて層別化しています。

6週後の生存率は「限定的な戦略」95%対「リベラル戦略」91%で、死亡率のハザード比は0.55(95% confidence interval [CI], 0.33 to 0.92; P=0.02)でした。

出血は、「限定的な戦略」10%、「リベラルな戦略」16%(P=0.01)で、有害事象は 40%対48% (P=0.02)でした。

消化性潰瘍に関連付けられていた出血患者のサブグループでも、ハザード比は0.70(95% CI, 0.26 to 1.25)と、わずかですが「限定的な戦略」で生存率は高くなっています。

肝硬変患者のChild-Pugh分類クラスAまたはBでは、ハザード比0.30(95% CI, 0.11 to 0.85)でしたが、クラスCでは、ハザード比1.04(95% CI, 0.45 to 2.37)と、差はありませんでした。

結論として、急性上部消化管出血患者において、限定的な輸血戦略が生存率を優位に改善しました。つまり、無闇な輸血は慎むべきということです。

Candid Villanueva, M.D., Alan Colomo, M.D., Alba Bosch, M.D., et al.
Transfusion Strategies for Acute Upper Gastrointestinal Bleeding
N Engl J Med 2013; 368:11-21January 3, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1211801

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