VD補充は変形性膝関節症を改善しない [栄養の話題]
バイタミンD(VD)の補充が変形性膝関節症(OA)の症状と軟骨減少を低下させるかを調査した、2年間の無作為化プラシーボ対照二重盲検試験の結果、効果は認められずむしろ悪化しました。
ボストンのタフツ医療センターに在籍していた症候性膝OA(平均年齢62.4歳[SD、8.5]患者146名を対象に2006年3月~2009年6月まで調査。
無作為に介入群とプラシーボに割り付け、介入群にはVDの血清中濃度を36ng / mL以上に上昇させるために、経口コレカルシフェロール2000 IU / dを投与。
プライマリアウトカムは、膝の痛みの重症度 (Western Ontario and McMaster Universities [WOMAC] pain scale, 0-20: 0, no pain; 20, extreme pain)と、軟骨の体積損失を磁気共鳴画像法で測定して評価。セカンダリーエンドポイントは、軟骨の厚さ、骨髄病変、X線関節裂隙幅、身体機能、膝の機能(WOMAC function scale, 0-68: 0, no difficulty; 68, extreme difficulty)を評価。
参加者の85%が試験を完了。血清25-hydroxyvitamin Dレベルは、介入群で平均 16.1 ng/mL (95% CI, 13.7 to 18.6)、プラシーボ群では2.1 mg/mL (95% CI, 0.5 to 3.7) (P < .001)。
ベースライン時と比較した膝痛は、介入群がプラシーボに比べわずかに高く (treatment group : mean, 6.9; 95% CI, 6.0 to 7.7 vs placebo group : mean, 5.8; 95% CI, 5.0 to 6.6) (P =0.08)でしたが、統計学的有意差はありません。
膝の機能では、介入群の平均 22.7( 95% CI, 19.8 to 25.6)に対して、プラシーボ群では18.5(95% CI, 15.8 to 21.2) (P =0 .04)と、介入群でより悪化しています。
膝痛の減少は、介入群で-2.31(95% CI, -3.24 to -1.38)、プラシーボで-1.46(95%CI, -2.33 to -0.60)と、両群に差はなく、軟骨の体積減少率は、平均-4.30(95% CI, -5.48 to -3.12) vs -4.25( 95% CI, -6.12 to -2.39) (P =0 .96)と、いずれも差は認められませんでした。
セカンダリエンドポイントや、有害事象の発現率は同等でした (β estimate, -0.12; 95% CI, -0.26 to 0.03; P = 0.10)。
気になる点は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)とオピオイドの使用で、介入群の54%に対してプラシーボでは6%と、治療群の参加者はより多くのNSAIDsを服用していました。また、16ヶ月の診察では、オピオイド使用は40% vs 22%(95% CI of difference, 0.02-0.34; P = 0.02)と、わずかですが統計的有意性が認められます。
結論として、著者は、「36 ng / mLを上回る、25 - ハイドロキシVD血漿中濃度を上昇させるためのVD補充はプラシーボと比較して、症候性膝OA患者における膝関節痛および軟骨の体積損失を減少させない。」としています。
しかし、むしろ悪化させたと判断することが妥当です。
Timothy McAlindon, Michael LaValley, et al.
Effect of Vitamin D Supplementation on Progression of Knee Pain and Cartilage Volume Loss in Patients With Symptomatic Osteoarthritis.
JAMA. 2013;309(2):155-162. doi:10.1001/jama.2012.164487
ボストンのタフツ医療センターに在籍していた症候性膝OA(平均年齢62.4歳[SD、8.5]患者146名を対象に2006年3月~2009年6月まで調査。
無作為に介入群とプラシーボに割り付け、介入群にはVDの血清中濃度を36ng / mL以上に上昇させるために、経口コレカルシフェロール2000 IU / dを投与。
プライマリアウトカムは、膝の痛みの重症度 (Western Ontario and McMaster Universities [WOMAC] pain scale, 0-20: 0, no pain; 20, extreme pain)と、軟骨の体積損失を磁気共鳴画像法で測定して評価。セカンダリーエンドポイントは、軟骨の厚さ、骨髄病変、X線関節裂隙幅、身体機能、膝の機能(WOMAC function scale, 0-68: 0, no difficulty; 68, extreme difficulty)を評価。
参加者の85%が試験を完了。血清25-hydroxyvitamin Dレベルは、介入群で平均 16.1 ng/mL (95% CI, 13.7 to 18.6)、プラシーボ群では2.1 mg/mL (95% CI, 0.5 to 3.7) (P < .001)。
ベースライン時と比較した膝痛は、介入群がプラシーボに比べわずかに高く (treatment group : mean, 6.9; 95% CI, 6.0 to 7.7 vs placebo group : mean, 5.8; 95% CI, 5.0 to 6.6) (P =0.08)でしたが、統計学的有意差はありません。
膝の機能では、介入群の平均 22.7( 95% CI, 19.8 to 25.6)に対して、プラシーボ群では18.5(95% CI, 15.8 to 21.2) (P =0 .04)と、介入群でより悪化しています。
膝痛の減少は、介入群で-2.31(95% CI, -3.24 to -1.38)、プラシーボで-1.46(95%CI, -2.33 to -0.60)と、両群に差はなく、軟骨の体積減少率は、平均-4.30(95% CI, -5.48 to -3.12) vs -4.25( 95% CI, -6.12 to -2.39) (P =0 .96)と、いずれも差は認められませんでした。
セカンダリエンドポイントや、有害事象の発現率は同等でした (β estimate, -0.12; 95% CI, -0.26 to 0.03; P = 0.10)。
気になる点は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)とオピオイドの使用で、介入群の54%に対してプラシーボでは6%と、治療群の参加者はより多くのNSAIDsを服用していました。また、16ヶ月の診察では、オピオイド使用は40% vs 22%(95% CI of difference, 0.02-0.34; P = 0.02)と、わずかですが統計的有意性が認められます。
結論として、著者は、「36 ng / mLを上回る、25 - ハイドロキシVD血漿中濃度を上昇させるためのVD補充はプラシーボと比較して、症候性膝OA患者における膝関節痛および軟骨の体積損失を減少させない。」としています。
しかし、むしろ悪化させたと判断することが妥当です。
Timothy McAlindon, Michael LaValley, et al.
Effect of Vitamin D Supplementation on Progression of Knee Pain and Cartilage Volume Loss in Patients With Symptomatic Osteoarthritis.
JAMA. 2013;309(2):155-162. doi:10.1001/jama.2012.164487
2013-01-09 10:16
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