絡脈の構造 (足の少陰の絡脈) [経絡とは]

 この絡脈は、左腎静脈より脾腎副行路の心膜静脈へ向かう流れか、左腎静脈より左胃静脈~左横隔静脈~心膜(心嚢)静脈への経路と考えられます。これらは脾腎副行路の一部であり、何れも門脈圧亢進の際の門脈系の側副血行路の一部です。以前に説明した様に、「肝」の病症観の形成は肝硬変で死亡した患者の解剖観察が基になっていると判断しています。従って、肝硬変の際の周囲の側副血行路の怒張の観察から、これらの血管の特徴的な流れも認識できていたと思われます。

流注
 「…(1)名ハ曰ク大鐘.踝後ニ当タリテ跟ヲ繞リテ.別レテ太陽ニ走ル.(2)其ノ別者.経ト並ビ上リテ心包下ニ走ル.(3)外ハ腰脊ヲ貫ク…」

流注解釈  
(1)内果の後方を踵骨動脈網より外側の踵骨枝を経て、腓骨動脈の貫通枝より外果動脈網~足背動脈網~弓状動脈~第5趾の背側趾動脈へと進み太陽の領域へゆく。(2)その別脈は、底側趾動脈の末端より底側趾静脈へ入り底側趾静脈網を経て後脛骨静脈へ進み後脛骨動脈(本脈)と併走して上り、[下大静脈より腎静脈へ進み、さらに、左横隔静脈より心膜静脈に入り心膜静脈にて]心包下に進む。(3)外にゆくものは、外腸骨静脈より上行腰静脈と前内椎骨静脈叢へと入り腰脊を貫く。(図-8)
 先ず、足背動脈網から背側趾動脈への流れで、表裏関係にある太陽経へも分布させています。正経脈である腎経の後脛骨動脈に対して、残っている、後脛骨静脈をこの絡脈の流れに当てています。但し、動脈の末端が毛細血管を介して静脈へと連絡することは、当時の技術では直接確認することは不可能です。しかしながら、内経医学の根底には、全てが連続して循環するとする考えがあるため、この様な捉え方は寧ろ自然であると言えます。

足の少陰の絡脈流注図
img030.jpg

追伸
本記事は、拙著「中医学の誤謬と詭弁:2015年1月出版」にも記されています。本書は、黄帝内経における臓腑経絡概念の本質を解読・検証したものです。市販はしていませんが、希望される方には、個人的に販売しています。申し込み方法は、カテゴリー「出版のお知らせ」をご覧ください。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0