絡脈の構造 (足の太陽の絡脈) [経絡とは]

 この絡脈は、陰の領域と想定している下腿内側を走行する神経を、矛盾なく説明するためのものと考えられます。陽経は神経であるため、陰経である下腿内側の経脈は動・静脈によって構成しています。当然、下腿内側を走行する神経は取り残されます。この矛盾を解消するための方策として絡脈を想定したものと考えられます。

流注
 「…名ハ曰ク飛陽.踝ヲ去ルコト七寸.別レテ少陰ニ走ル…」
流注解釈
 起点となる飛陽穴は、その位置を示す記述は内経中には存在しません。「素問:刺腰痛篇に飛陽脈上の内顆上五寸を刺せ」とする記述はあるものの飛陽穴との関連は不明です。しかしながら、先述した様に、下腿内側への走行を考慮すると、内側腓腹皮神経との吻合点と推測することが打倒と思われます。この流注の記述では果上7寸となっていますので、下腿内側への走行を考慮すると、内側腓腹皮神経との吻合点であると推測することが打倒と思われます。この吻合点より脛骨神経へ入りますが、「少陰に走る」とだけ記されており、上下などの方向性も示されていません。恐らく、脛骨神経の分岐点より末梢の全てを含むものと考えられます(A)。

 内側腓腹皮神経との吻合点の高さは個人差が相当あります。内経中で飛陽穴の位置が明記されていなかったのは、部位を特定できなかったことも考えられます。

 但し、脛骨神経は腓骨神経の2倍の太さがありますので、これを支流とするには若干無理はあります。もう1つの考えとしては、外側腓腹皮神経の分枝と伏在神経の分枝を連絡すると見て(近接する皮神経の多くは末端で吻合する)、伏在神経にて下腿内側を走行させた可能性も考えられます(B)。
 何れにしろ、陽経である神経が下腿内側を走行する矛盾を説明しようとしたことは間違いないと思われます。
*何れの案も、昔専門誌に発表した内容とは異なっています。 また、以前に投稿した「足の太陽膀胱経」の下腿部分(9)も訂正しました。

足の太陽の絡脈流注図
img029.jpg

追伸
本記事は、拙著「中医学の誤謬と詭弁:2015年1月出版」にも記されています。本書は、黄帝内経における臓腑経絡概念の本質を解読・検証したものです。市販はしておりませんが、希望される方には、個人的に販売しています。申し込み方法は、カテゴリー「出版のお知らせ」をご覧ください。

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