絡脈の構造 (足の陽明の絡脈) [経絡とは]

 この絡脈の記述は、大腿から体腔内および頚部までが省略されています。その理由として、この間の走行は本経そのものであるためと推測しています。従って、頭項への分布も本経である迷走神経の頭蓋腔への分枝によって解釈しました。

流注
 「…(1)名ハ曰ク豊隆.踝ヲ去ルコト八寸.別レテ太陰ニ走ル.(2)其ノ別者.脛骨外廉ヲ循リ.(3)上リテ頭項ニ絡シ.諸経ノ気ト合ス…」
 流注解釈
(1)本経の浅腓骨神経へ入る手前で総腓骨神経より外側腓腹皮神経の下腿前外側へ向かう分枝に進み(足の少陽胆経と分枝を分け合って)豊隆の部位より伏在神経の下腿外側まで延びている分枝より伏在神経へ連絡し、足の太陰の領域に進み抹消へ向かう。(2)その別行するものは、そのまま脛骨外側へ伸びている伏在神経を中枢へ向かい〔大腿神経に進み本経に入る〕。(その後の走行は本経と同様と判断し、本経では分布していない頭項への走行を、本経である迷走神経の分布によって解釈しています。)(3)本経である迷走神経を中枢に向かい、上神経節の硬膜枝によって頚静脈孔より頭蓋腔へ入り、硬膜枝によって、横静脈洞、後頭静脈洞に分布する。さらに、迷走神経の下神経節より交感神経の上頚神経節への交通を経て、全ての陽経に合流する。(図-3)

 胃経では、迷走神経と足の大腿神経を、腹腔神経叢、腸骨動脈神経叢、大腿動脈神経叢によって連絡させていると判断しましたが、繋ぐことの必要性や根拠は希薄です。
 しかしながら、迷走神経の硬膜枝は三叉神経と同様に脳血管の知覚に関与しており、頭痛発生の1要因として重要です。従いまして、臨床的には、胃経とその絡脈上の経穴の中で、頭痛に対して効果的な刺激ポイントが存在するかは興味深い問題です。
 一般成書による、胃経の経穴の主治症を見ますと、頭部局所の経穴以外で頭部・顔面の症状が記されているのは、下腿外側の解谿穴から末梢の経穴のみです。これは、他の経絡でもほぼ同様で、上・下肢末梢の経穴の主治症には頭部・顔面の症状が記されています。

図-3足の陽明の絡脈流注図 
    (頭蓋腔内の静脈は青色で塗りつぶし,神経は黄緑色で示す) 
img022.gif 

追伸
本記事は、拙著「中医学の誤謬と詭弁:2015年1月出版」にも記されています。本書は、黄帝内経における臓腑経絡概念の本質を解読・検証したものです。市販はしておりませんが、希望される方には、個人的に販売しています。申し込み方法は、カテゴリー「出版のお知らせ」をご覧ください。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0