絡脈の構造 (足の太陰の絡脈) [経絡とは]


 この絡脈の、脾から胃および腸へのルートは、肝硬変の際の側副血行路と推測しています。この推測は、先述した「肝」の概念と、その形成過程についての私の仮説とも符合するものです。

流注
 「…(1)名ハ曰ク公孫.本節ノ後ヲ去ルコト一寸.別レテ陽明ニ走ル.(2)其ノ別者.入リテ腸胃ニ絡ス…」

流注解釈
(1)公孫穴より内側縁静脈を経由して足背静脈弓に入り、第3趾橈側の骨間静脈にて足の陽明に進む。(2)その別脈は、脾静脈から下腸間膜静脈さらに、上腸間膜静脈へと入り腸に結びつく。また、脾より左大網静脈へと進み胃に結びつく。(図-4)
 脾臓から、脾静脈・脾周囲静脈、または胃大網静脈を通じて左腎静脈に入り、下大静脈に移行する流れや、下腸間膜静脈を経由するルートは、「脾腎副行路」、「胃大網後腹膜副行路」として重要です。私は、肝硬変で死亡した患者の解剖観察と、生前の臨床症状との照合から「肝」の概念が形成されたものと推測し提唱しています(先述)。恐らく、この剖検によって、肝硬変の際の副行路となっている静脈の膨張を観察し、絡脈として発想したものと考えられます。
 肝硬変のため門脈血がほとんど肝臓を通らずに側副血行路を経て下大静脈に流れ込むため、血中アンモニアが高値となり、意識障害や異常行動(異常行動型肝性脳症)を示します。

図-4 足の太陰の絡脈流注図
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追伸
本記事は、拙著「中医学の誤謬と詭弁:2015年1月出版」にも記されています。本書は、黄帝内経における臓腑経絡概念の本質を解読・検証したものです。市販はしておりませんが、希望される方には、個人的に販売しています。申し込み方法は、カテゴリー「出版のお知らせ」をご覧ください。

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