心筋梗塞関連ショックに対する体外生命維持療法に効果はあるか [医学一般の話題]

体外生命維持装置(ECLS)は、死亡率への影響に関する証拠が不足しているにもかかわらず、梗塞関連心原性ショックの治療に使用されることが増えています。

本研究では、心原性ショックを合併し、早期の血行再建が計画された急性心筋梗塞患者において、30日間の追跡調査の結果、ECLS療法を受けた患者と薬物療法のみを受けた患者の死亡率に差は無く、さらに、ECLS療法は出血患者が多かった。

この多施設共同試験では、早期ECLSと通常の治療を加えた治療(ECLS群)または通常の治療のみ(対照群)を受ける群に無作為に割り付けた。主要アウトカムは、30日時点における全原因による死亡で、出血、脳卒中、および末梢血管合併症が含まれた。

合計420人の患者が無作為化され、その内の417人が最終解析に含まれた。 30日時点における全原因死亡はECLS群で209人中100人(47.8%)、対照群では患者208人中102人(49.0%)で発生(relative risk, 0.98; 95% confidence interval [CI], 0.80 to 1.19; P= 0.81) 。

機械換気の継続期間の中央値は、ECLS グループで 7 日 (四分位範囲、4 ~ 12)、対照グループで 5 日 (四分位範囲、3 ~ 9) (中央値差、1 日、95% CI、0 ~ 2) )。

中等度または重度の出血からなる安全性転帰は、ECLS 群の患者で 23.4%、対照群では 9.6% で発生 (相対リスク、2.44、95% CI、1.50 ~ 3.95)。末梢血管の合併症は、それぞれ11.0%と3.8%に発生した(相対リスク、2.86、95%CI、1.31~6.25)。

結論として、心原性ショックを合併し、早期の血行再建が計画された急性心筋梗塞患者に対するECLS療法は薬物療法のみと比較して効果に差はなかった。

それにしても、ほぼ半数が死亡することを改善できないものか。

出典文献
Extracorporeal Life Support in Infarct-Related Cardiogenic Shock
List of authors.
Holger Thiele, Uwe Zeymer, Ibrahim Akin, Michael Behnes, et al.
N Engl J Med 2023; 389:1286-1297, DOI: 10.1056/NEJMoa2307227