HDL-C の低および高レベルの両方がわずかに認知症リスク上昇と関連? [医学一般の話題]

高密度および低密度リポタンパク質コレステロール (HDL-C、LDL-C)と認知症発症との関連性を調査した結果、HDL-Cの低および高レベルの両方がわずかに認知症リスクの上昇と関連したと報告されています。

55歳以上のカイザー・パーマネンテ北カリフォルニア医療計画会員を対象に、2002年から2007年の間に健康行動調査を実施。調査完了後2年以内にコレステロールを測定。EHR の ICD9 または ICD10 コードに基づく認知症 (アルツハイマー病関連認知症 [ADRD]、アルツハイマー病、血管性認知症、および/または非特異的認知症)の発症について分析。

研究は、調査データと電子健康記録(EHR)データを使用したコホートにおける、17年間にわたる追跡調査。参加者は184,367 人 [調査時の平均年齢 69.5 歳、平均 HDL-C=53.7 mg/dL (SD = 15.0)、LDL-C=108 mg/dL (SD = 30.6)]。

しかし、最低の五分位の HDL-C ハザード比(HR)は 1.07 (95% CI: 1.03-1.11)で、最高の五分位の HDL-CではHRは1.15(95%CI:1.11-1.20)であり、リスクの差はわずか7%と15%に過ぎません。統計的に有意であったとしても、この結果に意義があるとは思えません。一方、LDL-Cとの関連性はほとんど認めれませんでした。

大規模なコホート研究と胸をはっていますが、この研究結果に意味があるのでしょうか。

“Abstract”だけ読んでいますので詳細は不明ですが、認知症をタイプ別に分析したとは記されていません。アルツハイマー型とレビー小体型、および血管性認知症を分けずに十把一絡げに分析したのであれば意味を成さないと言えます。特に、血管性認知症ではコレステロール値の影響もあり得るでしょうし、、。

出典文献
Low- and High-Density Lipoprotein Cholesterol and Dementia Risk Over 17 Years of Follow-up Among Members of a Large Health Care Plan
Erin L Ferguson, Scott C Zimmerman, Chen Jiang, et al.
First published October 4, 2023, DOI: https://doi.org/10.1212/WNL.0000000000207876