人類の進化は終わったか [らくがき]

人類のDNAの二重らせんの中には約4×10^9ビットの情報が組み込まれて遺伝子を構成している。 一方、現在、人類は一年間に約10^18ビット以上の情報を作り出している。これは、遺伝を通して次世代に伝達される情報量の10億倍以上の情報を僅か一年間で生産していることになる。

生命の進化とは構造の変化だけではなく、むしろ、情報の増加にこそ意義があった。実際、進化によって扱える情報量は格段に増加した。さらに、人類は技術の進歩によって、遺伝子の外部にその10億倍以上の情報を伝達する手段を得たことになる。しかしそれは、見方を変えれば、人類の生物的な進化の必要性は既に終わったとも言える。

現在、物理学はニュートン以来の大変革期を迎えており、「量子場」の理論は科学的な自然理解の極致であり人類の知性の到達点であると言われている。ニュートン力学において、それぞれが別の概念として捉えられていた「空間・時間・物質・力」は、量子論によって「量子場」という概念に集約された。

物質とエネルギーは、E= mc^2で結ばれ、エネルギーと情報は ℏω= Eで結ばれている。物理の要素である「物質・エネルギー・情報」は三位一体であり、その全ては「場の量子論」で記述されると言われている。

量子力学の知識は太陽で行われている核融合の謎を解明し、また、スマホやコンピューターなど多くのデバイスを生み出した。一般市民は量子力学の知識など全く無いまま、その恩恵を享受している。さらに最近では、量子コンピューターも実用化の段階に迫っている。

しかし、これらの技術を支える量子電磁気学もミクロの極限においては理論が破綻して多くの矛盾を抱えている。計算の途中で現れる「無限大へ発散する」問題を、「くりこみ理論」の高度な数学的手法のによって修正して現実の実験データに合わせて置き換えてしまうという操作を行い、とりあえず問題を回避したに過ぎないように感じられる。電子と光子に関する現象をほぼ完璧に予想して多くの電子機器に応用してはいるが、決して究極の理論とは言いがたい。数学音痴の私ごときが偉そうに言うことではないが、それでも釈然としない思いは残る。

現代の物理学は「大統一理論」に向けてさらなる進歩が期待されている。しかし一方で、人類の知性は限界点に達しつつあるように見える。いや、最近のウクライナにおける戦争などは、人類が数万年の間その知性を何も進歩させられなかったことを示している。今後も進歩する可能性は低く、むしろ、終末の時を迎えつつあるように思われる。