CO2濃度の増加が気温上昇を招くという欺瞞 [らくがき]

「Advances in Atmospheric Sciences」という学術誌に発表された、23名の科学者による論文によると、世界のすべての海洋の水深2,000メートルまでの層において、2021年は2020年よりも、14ゼタジュールのエネルギーを多く吸収していたと記されている。これは人間が1年間に作り出すエネルギー量の145倍であり、広島に落とされた原爆7個分が、365日24時間毎秒爆発したときに発生する熱量に相当する。

よくもまー、ぬけぬけと言えたものだと思う。つまり、これは人類が産出し得るエネルギーではなく、温暖化が人為的(二酸化炭素の排出)ではないことを自ら断言していることに等しい。

*1ゼタジュール=1,000,000,000,000,000,000,000ジュール(漢数字では、10垓(がい)ジュール)

ノーベル物理学賞を受賞した米プリンストン大上級研究員の真鍋淑郎氏は、50年以上前に“温暖化”を予測したそうである。しかし、そもそも、現代は間氷期のただ中の後半であり、気温の上昇など誰でも予測できることである。但し、100万年ほど前から始まった、氷河期と温暖期のサイクルのメカニズムは未だ未解明。

真鍋氏は、複雑な大気や海洋の挙動をコンピューターで再現したと聞く。ノーベル財団による授賞理由は、「大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の上昇が地球表面の温度上昇をもたらす仕組みを解明した。1960年代には気候変動の物理モデル開発をリードし、現在の気候変動予測の基礎を築いた」とのこと。地球温暖化予測のモデルの開発には、40年間で150億円に上る研究費を使ったとのことで、実に豪勢な話である。

現在、世界中の政治家やマスコミが騒いでいる、「二酸化炭素が増えれば地球の気温が上昇して地球温暖化につながる」という気象モデルを、世界に先駆けて作成し発表した科学者である。この研究によって、地球温暖化や気候変動の研究が伸展したというが、私には疑問である。

さらに、その後、大気と海洋の循環を組み合わせて長期的な気候変化をシミュレーションする「大気海洋結合モデル」を開発したとのこと。日本の気象庁が発表しているの3カ月先の予報や寒・暖候期予報や、エルニーニョ現象の予測など様々な場面で活用されているという。しかし、気象庁が発表する長期予報は、そのほとんどが正反対となり的中することは極めて希である。自然現象は全て非線形であり、人類は未だ、方程式によって予測することはできていない。エルニーニョ現象もそのメカニズムが解明されたわけでは無い。

現在の気温が上昇がそのまま直線的に続くと考えるのは、幼稚園児なみの認識である。非線形現象そのものである気象現象が、今後もそのまま直線的に推移することなどあり得ないのである。

真鍋氏は、地表で反射した赤外線がCO2などの温室効果ガスに吸収されて生じる気温変化を予測し、CO2濃度が2倍になると気温が2.3度上昇するという推定値を導き出して論文に発表した(1967年)、らしい。現在のCO2濃度は400ppm(0.04%)を少し超えた程度であろう。大気中に極微量にしか存在しないCO2が数倍になったところで果たしてそのような影響があるだろうか。一見互いに相関して見える現象を、モデルを作成して説明しただけに思われる。相関しているだけでは因果関係は実証できないはずだ。私はむしろ、気温の上昇が原因で大気中のCO2濃度が増加したと考える方がより妥当だと考える。

温暖期で海水温が上昇すれば海水中の溶存CO2は大気中に放出される。また、大気温の上昇によって海水からの水蒸気の蒸発が増加する。水蒸気は最強の温暖化ガスであるため、さらに気温が上昇して蒸発量も増加し、さらに気温が上昇してスパイラルとなる。

温暖化の原因をCO2とする説は極めて胡散臭いことに注意が必要。CO2は温室効果ガスと言われているが、大気中に多く存在する物質の中で温室効果の最も大きいのは水蒸気である。温室効果ガスと言われている気体の赤外線吸収波長域は、水蒸気では12マイクロメートル以上の領域を広範にカバーしているのに対し、CO2は15マイクロメートルの領域に限定されている。このため、温室効果に寄与する気体中のCO2が占める割合は多めに見積もっても全体の3%(97%は水蒸気)以内に過ぎない。
 
「人為起源の」温室効果ガスのうち、CO2の占める割合が64%という環境庁のデータについては、これが温室効果に対するCO2の寄与率ではないということに注意が必要。

さらに言えば、産業革命よりはるか以前にも現代よりも気温が高かった時代はいくらでも存在した。はるか昔では、恐竜が闊歩していたジュラ紀(2億年~1億4000万年前)の平均気温は、現在よりも10度以上高かく、植物も動物も繁栄できた。日本の縄文時代は、現代よりも3℃程高かった故に東北地方や北海道でも繁栄できた。その後の寒冷化によって生きられなくなり、集落は放棄された。

9世紀から13世紀にかけても世界の気温が上昇し、この時期を中世温暖期とも呼ぶ。この時期は、それまで耕作できなかった高地も農地となり、温暖な気候と農業生産性の増大によってヨーロッパの人口は急激に増加した。しかしその後、14世紀初頭から19世紀中頃にかけて、「小氷期:シュペーラー極小期」と呼ばれる寒冷な時代となり、北半球の平均気温は、1000~2000年の平均気温よりもだいたい0.6度低くなった。この寒冷化が大航海時代の幕開けの動機となった。有名な「ゲルマン民族の大移動」も、寒冷化によって北ヨーロッパには住めなくなり南下したものだ。

温暖期はほとんどの生物にとって生きやすい時期である。温暖化によって生態系が破壊されるなどということはあり得ない。逆に、大氷河期ともなれば、人類の大半は生きられない。

真鍋氏は、このままCO2が増え続ければ気温はさらに上昇し、やがて北極海の氷も消失するなどと言っていた。私は毎日、ADSによる1980年以降の北極海と南極海における海氷面積データのグラフを見ているが、1980年を最高にして減少したものの、夏場の最低は2012年で、今年度はその中間を推移しており減少し続けていることはない。将来的に消失することなど、現状ではあり得ないのである。この人は、根拠も無く、その様な世間の噂話程度のことを言うのだろうか。研究者として無責任であろう。

カーボンニュートラルという冗談。ライフサイクルで考慮しない、ウソだらけの再生可能エネルギー。はたまた、製造過程のエネルギー収支や問題点をごまかした、本当は環境に悪い水素など、作為的なウソ話の氾濫。この様な世界の流れに歯止めは効かないのであろうか。多くの人々を、長期間に渡って欺し続けることはできないと、人間の良識に期待したいのだが、、、。

追伸: 麻生太郎氏の発言を暴言として批判しているが

麻生氏は、「昔、北海道のコメは『やっかいどう米』と言うほどだったが、今はやたらうまいコメを作るようになった。農家のおかげか、違う。温度が上がったからだ。温暖化というと悪いことしか書いてないが、いいことがある」、と述べたらしい。私は、正論だと思う。世の中において、真実を見極めるのは困難だが、1つ方法がある。それは、多くの政治家やマスコミが扇動する方向に真実は無い。