バイデンは議会に処方薬の価格を下げるための行動を起こせと言うが [らくがき]

バイデン大統領は「アメリカでは処方薬は法外に高価である。ワシントン議会は処方薬の価格を下げるためにもっと多くのことをしなければならない。」と発言した。しかし、この国においてそれは可能だろうか。

大統領は、FDAに対し、ジェネリック医薬品のより迅速な承認を求める大統領命令を出した。さらに、薬価を下げるために、すでにいくつかの「重要な措置」を講じているとも述べている。この命令では、政府機関が州や部族と協力して、より安価な処方薬をカナダから輸入できるようにすることも求めている。

しかし、根本的問題の改革が抜け落ちてはいないか。

日本においては、新薬は製薬会社が製造コストと患者数から計算して薬価を提示をするが、最終的な決定権は国にある。しかし、アメリカでは、一般的な商品と同様に、薬価の決定権は製薬会社にある。つまり、製薬会社は好きなように薬価を設定できる。

バイデン大統領は、問題を本当に解決するためには議会が行動する必要があると、ホワイトハウスのイーストルームで行われた発言の中で述べた。彼は議会に対し、「BuildBack Better計画」を可決するよう求めた。それは、メディケアに処方薬の価格を交渉する権利を与えるものだ。信じがたいのだが、アメリカでは、メディケアには処方薬の価格交渉が許可されていない。この計画はその禁止を取り除くことを目的としている。

さらに、バイデン大統領は、高齢者が支払う金額を年間3,000ドルに制限し、製薬会社が投資額と健康状態から決定した後、インフレ率に基づいてのみ価格を引き上げることを許可すると述べている。つまり、この改革案においても、国は薬価の決定には関与しない。

メディケアは、診察料、松葉杖、車椅子など、他のすべての種類の医療サービスについて、交渉できるが、薬の販売価格については決定権が製薬会社にあり、交渉はできない。

現在、アメリカ人が処方薬に対して過剰に支払っている金銭を、多くの製薬会社は革新や研究に十分な利益を使用していない。 多くの企業はその利益によって自社株を買い戻し、価値を膨らませてCEOの給与と報酬を引き上げ、市場を独占している。

予想通り、バイデンの発言に対して、米国研究製薬工業協会は批判している。 一方、持続可能なRx価格設定委員会(CSRxP)は、「処方薬の価格を下げる」というバイデン大統領のコミットメントを称賛している。

現在、この国を牛耳っている主な組織は製薬会社と保険会社であり、バイデン大統領の計画が実現する可能性は極めて低い。強行に臨めば、暗殺される危険性もある。

余談ではあるが、アメリカでは、全米12地区の主要な民間銀行が出資する連邦準備銀行が設置されていて、ドル紙幣(連邦準備券)を発行している。かつて、ケネディ大統領はベトナム戦争の戦費と福祉財源を確保するために財務省にドル紙幣を発行させた。それ自体は法律上可能であったが、その行為は金融資本の利益を損なうものであった。彼は暗殺され、その直後にこのドル紙幣は全て回収され、それ以後発行されてはいない。

アメリカとは、その様な国なのだ。

引用文献
Congress Must Take Action to Lower Prescription Drug Prices, Biden Says
— Medicare should be empowered to negotiate drug prices, he suggests-
by Joyce Frieden, Washington Editor, MedPage Today August 12, 2021

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