抗凝固療法中の心房細動患者の下部消化管出血は大腸癌の高リスクと関連する [医学一般の話題]

心房細動(AF)患者は、脳梗塞予防のために経口抗凝固剤(OAC)で治療される。OAC治療による出血合併症は比較的頻繁であり、上下部消化管出血(GI-出血)は、1年あたり1〜2%の割合で起こると推定されている。一方、一般集団において、下部GI出血は、下部消化管における悪性病変のよく知られたマーカーである。

しかし、OAC治療中のAF患者では、下部GI出血は大腸癌発症の高い絶対リスクと関連しており、抗凝固剤に起因するびまん性粘膜出血として却下されるべきではなく、原因について精査するべきであると報告されている。

この大規模後ろ向きコホート研究では、デンマークの行政登記簿を用いて、OAC治療を受けたデンマークのAF患者125,418名を特定、GI出血を有する2576名を同定した。最長3年間のフォローアップ間に、140名の患者が下部GI出血の初年度内に大腸癌と診断された。

すべての年齢層で、下部GI出血後に大腸癌の高リスクが観察された。1年の絶対的リスクは、65歳以下で3.7% [95% confidence interval (CI) 2.2–6.2]、76–80 歳では8.1% (95% CI 6.1–10.6)であった。

消化管出血が少ない患者とそうでない患者を比較すると、すべての年齢層で大腸癌のリスク比が高く、65歳以下は24.2(95%CI 14.5–40.4)および85歳以上12.3(95%CI 7.9–19.0)であった。

出典文献
Gastrointestinal bleeding and the risk of colorectal cancer in anticoagulated patients with atrial fibrillation 
Peter Vibe Rasmussen, Frederik Dalgaard, Gunnar Hilmar Gislason, et al.,
European Heart Journal, ehz964, https://doi.org/10.1093/eurheartj/ehz964

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