出産後の骨盤底障害と分娩モードの関連 [医学一般の話題]

出産後の骨盤底障害と分娩モードの関連を調査したコホート研究(n=1528)の結果、帝王切開分娩は自発的な膣分娩と比較して骨盤底障害のリスクが低く、器具などを使用する手術分娩では高リスクと関連していた。

女性1528名中、帝王切開出産群778名、自発的分娩群565名、および手術分娩群185名。初産時の年齢の中央値は30.6歳で、1092名 (72%) は登録時に経産婦。

女性は、このコホート研究のためのコミュニティ病院から、最初の出産から5から10年後に募集され、9年間フォローされた。

自発的な腟分娩による、初回出産後における骨盤底障害の15年間の累積発生率は、ストレス性尿失禁 (SUI)34.3%(95% CI、29.9%-38.6%)。過活動膀胱 (OAB)21.8% (95% CI、17.8%-25.7%)、肛門失禁 (AI)30.6% (95% CI, 26.4%-34.9%)、骨盤臓器脱 (POP)30.0% (95% CI, 25.1%-34.9%)。

骨盤底障害の発生率について、自発的腟分娩に対する帝王切開分娩のハザード比は、SUI (adjusted hazard ratio [aHR], 0.46 [95% CI, 0.32-0.67])、OAB (aHR, 0.51 [95% CI, 0.34-0.76])、および POP (aHR, 0.28 [95% CI, 0.19-0.42])であり、帝王切開分娩が有意に低リスクと関連していた。

一方、手術分娩は、AI (aHR, 1.75 [95% CI, 1.14-2.68]) and POP (aHR, 1.88 [95% CI, 1.28-2.78])と、有意に高リスクと関連していた。

分娩モードによる層別化では、生殖器の裂傷サイズが2.5cm以下の場合のPOPのハザード比は3(95% CI, 1.7-5.3)、3.5cm以上では 9.0 (95% CI, 5.5-14.8)で9倍であった。

手術膣分娩とは、膣から胎児を取り出すために、鉗子、真空、または他の装置を使用する分娩を指す。アメリカでは、3.1%(2015年)が手術膣アプローチによって出産している。この報告では、その後の骨盤底障害のリスクが倍近く高くなったが、同時に、新生児の傷害のリスクも重要である。鉗子分娩の選択を維持するためには、鉗子技術および関連する技術の詳しい指導を組み込む必要がある。

骨盤底疾患 (例えば、尿失禁) は、アメリカ女性の約 25% に発症し、それは出産に関連している。しかし、その経過と進行についてはほとんど知られていない。

出典文献
Association of Delivery Mode With Pelvic Floor Disorders After Childbirth
Joan L. Blomquist, Alvaro Muñoz, Megan Carroll, et al.,
JAMA. 2018;320(23):2438-2447. doi:10.1001/jama.2018.18315

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