椎間関節症候群に対する椎間関節内ステロイドvs傍脊柱筋内注射(?) [腰痛関連]

タイトルには、「Effect of Facet Joint Injection Versus Systemic Steroids in Low Back Pain」と記されているが、傍脊柱筋内と椎間関節へのステロイド注射はそれぞれ6ポイントであり、「椎間関節注射対全身ステロイド注射の効果」とするのは適切ではない。

研究デザインは「Randomized clinical trial」で、エビデンスレベルは、上から2番目の「Level of Evidence: 2」。しかし、レベルが高い研究とは思えない。

この文献は「要約」のみで(全文公開の文献もたまにあるが)、評価項目である、痛みの視覚的アナログスケール、脊柱の伸展中の痛みの視覚的アナログスケール、リカートスケール、改善率、Roland-Morris、36項目短形健康調査の数値が全く記されていないので、判断はできないのだが、感じた疑問点を述べてみたい(医師でもないのに、、)。

先ず、被験者は、椎間関節症候群と診断された60人とのことだが、「椎間関節症候群」そのものが曖昧であり、どの様に定義し、検査されたのか不明。それ以前に、明確な診断基準があったのかなど疑わしい。

介入群は椎間関節内注射、コントロールとして傍脊柱筋内注射(それぞれにtriamcinolone hexacetonide)。ベースライン時および1,4,12,および24週に評価している。

各時点の分析では、ローランド・モリスの質問票、リカート尺度による改善率および治療への対応において、介入群の改善が見られた。両群ともに効果的であり、関節内注射は筋肉内注射に対してわずかに優位性が示されたと記されているが、その差は記述が無いので不明。しかし、「わずかに優位」との表現から、実際にはほとんど差が無かったものと推測できる。

そもそも、椎間関節症候群に対して傍脊柱筋内ステロイド注射に効果があるとは考えられない。したがって、椎間関節内注射に対するコントロールとして意義があるのか疑問。また、両群がスコアをどの程度軽減できたのかを知りたい。要約であっても、評価項目の数値ぐらいは記すべきと言いたい。

出典文献
Effect of Facet Joint Injection Versus Systemic Steroids in Low Back Pain: A Randomized Controlled Trial
Ribeiro, Luiza Helena, Furtado, Rita Nely Vilar, Konai, Monique Sayuri , et al.,
Spine: November 1st, 2013 - Volume 38 - Issue 23 - p 1995–2002
doi: 10.1097/BRS.0b013e3182a76df1

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