新生児集中治療室における多剤耐性酵母感染の予測因子は体温計だった [医学一般の話題]

新生児集中治療室(NICU)における多剤耐性Candida auris感染の発生が、多用途温度計の使用に関連していると報告された(オックスフォード大学David Eyre博士ら)。

多くの患者に使用する腋窩部温度モニタリングはオッズ比6.8で、C.auris感染の独立した予測因子だった(OR 6.80,95%CI 2.96〜15.64、P <0.001)。

(欧州臨床微生物感染症学会(European Microbiology and Infectious Diseases)の年次総会である欧州微生物学・感染症会議(ECCMID))

酵母Candida aurisは一般環境ではほとんど検出されなかったが、マルチ患者使用機器および走査型電子顕微鏡のプローブ表面上で確認された。さらに、その発生は温度プローブの除去後にのみ制御された。

さらに、マルチユース温度計に加えて、全身性フルコナゾールの使用(3件)がリスク増加に関連した(OR 10.2,95%CI 1.64〜63.5、P = 0.01)。

C.auris診断された入院患者の66例中57例が温度計を使用し、一方、コントロールでは361例中122例が使用した。

この研究による知見は、説明できない医療関連アウトブレイクでは、特に、マルチユースの患者機器を慎重に調査する必要性を示している。

出典文献
Epidemiology and successful control of a Candida auris outbreak in a U.K. intensive care unit driven by multi-use patient monitoring equipment.
Eyre D, et al.,
European Society of Clinical Microbiology and Infectious Diseases, ESCMID 2018; Abstract O0172.

医療関連施設における、MRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus)、MDRP(multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa)などの、一般細菌による多剤耐性菌感染症は従来より知られている。一方、近年注目されている侵襲性感染症として、2016年6月にCDCは抗真菌薬に多剤耐性酵母Candida auris(C.auris)による感染症についての注意喚起をおこなっている。

CDCがC.aurisによる感染症を懸念している理由は、他のカンジダには認められなかった複数の抗真菌薬に対して耐性を有すること(分離株の約半数が2系統以上の抗真菌薬に対して耐性がある)。また、標準的な検査方法でC.aurisを同定することが困難であること。
したがって、C.aurisは医療施設において、アウトブレイクの原因となる可能性がある。

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