高蛋白質食による減量はインスリン感受性を低下させる [栄養の話題]

34名の閉経後肥満の女性(BMI 30以上)を対象にして実施された、小規模な研究の結果で、高蛋白質食による減量療法(Weight Loss Therapy)は、筋のインスリン感受性を減少させたと報告されています。この結果によって、高蛋白食は代謝機能に悪影響を及ぼし、2 型糖尿病の発症に関与する主要な病態生理学的メカニズムを改善するための障害となる可能性があると指摘されています。

減量中の高蛋白質食の摂取は組織を維持するために重要であると一般に信じられ、閉経後女性を含む高齢者のサルコペニアのリスク低減に寄与するとも考えられています。しかし、高蛋白食によるインスリン感受性の悪化と利点をトレードオフする必要があります。

尚、参加者は、脂肪や炭水化物の量は同等で、同様の基本食事を受け取っています。参加者は、コントロールと、低カロリー食蛋白質0.8g/kg 体重/日、および1.2 g 蛋白質/kg 体重/日の高蛋白質摂取の3グループに無作為に割り付けられ、28週間実施。

両減量グループは、体重と体組成に違いは無く、体重は10%減少。肝内のトリグリセリド、腹腔内脂肪組織、基礎インスリンなど、他のパラメーターに差は無し。

但し、サンプル数が少なく、閉経後の女性のみを対象にしているため、一般化はできません。

しかし、以前に紹介した「低炭水化物高蛋白食は動脈硬化を促進させると報告 2015.2.4.」でも記しましたが、マウスによる実験では、低炭水化物高蛋白食(LCHF)は動脈硬化(心臓の冠動脈)を促進させます。

LCHFでは、循環血液中の 血管内皮前駆細胞 (Sca1+ Flk1+) 数を減少させ、血管再生能力のマーカーである骨髄および末梢血の血管内皮前駆細胞 (Epc) の数が大幅に削減します。

LCHPは、Epcの動員、増殖、生存に重要である、セリンスレオニンキナーゼ活性化(リン酸化) Akt の下位レベルも抑制します。

LCHPを与えられたマウスでは、大動脈動脈硬化がより多く発症し、新しい血管を生成する能力が低下しました。これらの徴候は、酸化ストレス、炎症性メディエーター、血清コレステロール値の変化では説明できません。あくまでも、マウスによる結果ですが、代謝は複雑です。
Foo SY et al. Vascular effects of a low-carbohydrate high-protein diet. Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 Sep8;106(36):15418-23.

出典文献
Source Reference: Smith GI, et al.,
High-protein intake during weight-loss therapy eliminates the weight-loss-induced improvement in insulin action in obese postmenopausal women.
Cell Reports 2016; DOI: 10.1016/j.celrep.2016.09.047.

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