全身性炎症性疾患は血管内動脈瘤修復後のエンドリークのリスクに関連する [免疫・炎症]

腹部大動脈瘤は大動脈壁内の慢性炎症と関連しており、慢性炎症の調節不全、および持続性の自己免疫応答の結果であることが示唆されていました。この、レトロスペクティブレビューでも、全身性炎症性疾患を有する患者は、血管内動脈瘤修復(EVAR)後の永続的な大動脈リモデリングによってII型エンドリークや嚢の拡張、および術後合併症のリスクが高いと報告されています。

対象患者は、退役軍人コネチカットヘルスケア・システムによる、2002年7月から2011年6月までにEVARを受けた79名。その中の51名(65%)が全身性炎症疾患に罹患。

EVAR後の主要な合併症は、炎症性疾患有対無しで23.5% vs 3.6%(P=0.02)、全体的な術後合併症では27.5% vs 7.1% (P=0.03)と、何れも炎症性疾患有でリスクが高くなりました。

炎症性疾患は、アレルギー性鼻炎、変形性関節症、および痛風などです。

エンドリークでは、同様に45.1% vs 17.9%(P=0.02)、遅発性の嚢の拡張51.0% vs 21.4%( P=0.01)、必要以上の介入21.6% vs 3.6%( P=0.03)。極めて重要なエンドリークのオッズ比は5.18倍(95% CI, 1.56-17.16; P=0.007)でした。

この知見は、動脈瘤破裂を防止するための戦略にとって重要です。

補足:
エンドリークとは、大動脈ステントグラフト挿入術後に瘤内部へ血液が流入することを意味します。エンドリークが存在しますと瘤が縮小せず、さらに拡大した場合には破裂する危険性もあります。

エンドリークのタイプは5種類ありますが、今回の報告にあるタイプIIは症例の80%を占めており、分岐血管からの逆流によるものです。一般的に原因となる血管は腰椎動脈、下腸間膜動脈、および内腸骨動脈などです。しかし、このタイプは想定の範囲であり、通常は経過観察のみで自然に軽快します。

出典文献
Sherif Y. Shalaby, Trenton R. Foster, Michael R. Hall, et al.,
Systemic Inflammatory Disease and its Association With Type II Endoleak and Late Interventions After Endovascular Aneurysm Repair ONLINE FIRST
JAMA Surg. Published online October 21, 2015. doi:10.1001/jamasurg.2015.3219

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