S状結腸鏡によるスクリーニングテストにメリットはあるか [医学・医療への疑問]

大腸内視鏡検査は結腸直腸癌のスクリーニング法として一般的に使用されていますが、生存時間の延長効果を調査したメタ分析の結果では少々疑問で、結腸直腸癌関連死亡の減少は、1000 人に対する検査で、5 年間に 0.3、10 年間では1.2と報告されています。

4.3 年間 (95% confidence interval 2.8 to 5.8)、1人の結腸直腸癌関連死を防ぐためには5000人へのスクリーニングテストが必要で、9.4年(95% confidence interval 7.6 to 11.3)では1000人が必要でした。

大腸癌の死亡率曲線では、コントロールと比較した、1000人当たりの大腸癌による死亡の絶対リスク減少は、5年で0.3、10年で1.2、13年で1.9と増加しています。

研究データは、2013年に公開されたコクラン共同計画系統的レビュー、メドライン、およびコクラン・ライブラリーから、4つのランダム化比較試験(合計n = 459, 814, 年齢50-74歳)を基にしています。

結腸直腸癌スクリーニングによるメリットとは、1000人に対するテストによって、10年後にようやく1人の大腸癌による死亡を防げるというものでした。

便潜血検査または軟性S状結腸鏡検査によるスクリーニングテストは、大腸癌関連死亡率を減少させることが示されています。しかし、ごく僅かな寿命延長メリットと供に、痛み、テスト後の不安、結腸穿孔、および心臓、腎臓、認知症などの合併症の有害性も存在します。

多数の人への検査分析から導かれた統計的データと、1人の個人の思いは別ですが、スクリーニングテストの有益性には疑問が残ります。

出典文献
Victoria Tang, W John Boscardin, Irena Stijacic-Cenzer, Sei J Lee,
Time to benefit for colorectal cancer screening: survival meta-analysis of flexible sigmoidoscopy trials.
BMJ 2015; 350 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h1662 (Published 16 April 2015)
Cite this as: BMJ 2015;350:h1662

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