腰椎椎間板ヘルニアに腫瘍壊死因子α阻害剤は有効か [医学・医療への疑問]
腫瘍壊死因子α(TNF- α)阻害剤(エタネルセプト)の硬膜外注射による、症候性腰椎椎間板ヘルニア( LDH)治療の有効性と安全性を調べた結果、ヘルニアによる坐骨神経痛に対して安全かつ効果的な保存療法であると報告されています。しかしながら疑問です。
研究デザインは、多施設、無作為化、二重盲検、プラシーボ対照試験。
対象は、LDHに続発する持続的な腰仙椎神経根痛(平均5/10以上の足の痛み)を有する18~70歳までの49名の患者(43名が試験を完了)。エタネルセプト0.5-mg, 2.5-mg, 12.5-mg と、プラシーボの4グループに分けて実施。
メインアウトカムは、1日の平均足の最悪の痛み(mean daily worst leg pain ;WLP)で評価。サブアウトカムは、平均的足の痛み、および最強度の腰痛、オスウェストリー障害指数の変化、患者の全体的印象、および忍容性。
0.5 mgのエタネルセプトを受けた患者は、臨床的および統計学的に有意であったと記されていますが、P < 0.1であり、有意とは言えません。
WLPの変化のプラシーボとの比較は(2~ 26週)、 -5.13 vs -1.95 (P=0.066)。“the intention-to-treat population”では、-4.40 vs -1.84 (P = 0.058 )。
図を見れば一目瞭然ですが、若干効果的なのは0.5 mgのみですし、統計的な有意性もありません。また、さらに長期的な効果が疑問です。
問題なのは、高用量のTNF阻害剤の使用によって、マクロファージ媒介ディスク吸収を阻害する可能性があることです。脱出したヘルニア塊は、マクロファージによって貪食されて吸収されます。腰椎椎間板ヘルニアの多くが自然に治癒するのはこのためです。消炎鎮痛剤などを使用し過ぎると、このマクロファージの活動を抑制してしまいます。
Freeman, Brian , Ludbrook, Guy, Hall, Stephen. et al.
Randomized, Double-blind, Placebo-Controlled, Trial of Transforaminal Epidural Etanercept for the Treatment of Symptomatic Lumbar Disc Herniation
Spine:01November 2013 - Volume 38 - Issue 23 - p 1986-1994
doi: 10.1097/01.brs.0000435140.61593.4c
研究デザインは、多施設、無作為化、二重盲検、プラシーボ対照試験。
対象は、LDHに続発する持続的な腰仙椎神経根痛(平均5/10以上の足の痛み)を有する18~70歳までの49名の患者(43名が試験を完了)。エタネルセプト0.5-mg, 2.5-mg, 12.5-mg と、プラシーボの4グループに分けて実施。
メインアウトカムは、1日の平均足の最悪の痛み(mean daily worst leg pain ;WLP)で評価。サブアウトカムは、平均的足の痛み、および最強度の腰痛、オスウェストリー障害指数の変化、患者の全体的印象、および忍容性。
0.5 mgのエタネルセプトを受けた患者は、臨床的および統計学的に有意であったと記されていますが、P < 0.1であり、有意とは言えません。
WLPの変化のプラシーボとの比較は(2~ 26週)、 -5.13 vs -1.95 (P=0.066)。“the intention-to-treat population”では、-4.40 vs -1.84 (P = 0.058 )。
図を見れば一目瞭然ですが、若干効果的なのは0.5 mgのみですし、統計的な有意性もありません。また、さらに長期的な効果が疑問です。
問題なのは、高用量のTNF阻害剤の使用によって、マクロファージ媒介ディスク吸収を阻害する可能性があることです。脱出したヘルニア塊は、マクロファージによって貪食されて吸収されます。腰椎椎間板ヘルニアの多くが自然に治癒するのはこのためです。消炎鎮痛剤などを使用し過ぎると、このマクロファージの活動を抑制してしまいます。
Freeman, Brian , Ludbrook, Guy, Hall, Stephen. et al.
Randomized, Double-blind, Placebo-Controlled, Trial of Transforaminal Epidural Etanercept for the Treatment of Symptomatic Lumbar Disc Herniation
Spine:01November 2013 - Volume 38 - Issue 23 - p 1986-1994
doi: 10.1097/01.brs.0000435140.61593.4c
2013-11-07 11:37
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