急性心不全患者の高血糖は死亡リスクの予測因子になると報告 [医学一般の話題]

高血糖は冠動脈疾患などの心臓疾患の予後に影響を与えますが、急性心不全(AHF)における高血糖の短期予後への影響は明確ではないようです。この研究では、血中グルコース濃度は糖尿病やその他の臨床的変数の診断とは独立した、30日死亡の強力な予後因子であるとともに、治療的介入のための有効なターゲットとなる可能性があると報告されています。

レジストリに含まれているAHFの患者8,213名の患者のうち、選択基準を満たした6,212名を非高血糖値(n = 3,391)と高血糖値(n = 2,821)の2つのグループに分類。現在のDMは血中グルコース濃度≧10 mmol / L、非DM≧7mmol / Lと定義。

身体測定、最新の心エコー所見などの臨床所見、および投薬を含む臨床データをベースライン時に記録。 交絡因子は、年齢、性別、併存疾患(慢性心不全、冠動脈疾患[CAD]、糖尿病の既往、血圧、腎機能障害( eGFR<60 ml/min/1.73㎡)。糖尿病(DM)の既往は、医療記録、進行中の糖尿病の治療、またはマニュアルによる自己報告にもとずくづくものでした。

血中グルコースは酵素法で測定。推定糸球体濾過率(eGFR)は腎疾患の式で変更されたダイエットを使用してクレアチニン値から計算。バイタル状況のフォローアップは30日。エンドポイントは全原因死亡。統計的分析はR統計ソフトウェア(http://www.r-project.org/)を用いて行い、p値<0.05を統計的に有意であると判断。

  
被験者の平均年齢は72歳で、DMの既往は男性52.5%、女性41%、入院時の平均血糖値は7.5 mmol / L(135 mg / dlで)。非DMは、血糖値≧7 mmol / Lで42%、DM患者は、≧10 mmol /Lで50%。

30日後、618名の患者(10%)が死亡。血中グルコース濃度の中央値(8.9 mmol/L vs. 7.4 mmol/L; p < 0.0001)で比較した死亡の完全調整オッズ比は2.19(odds ratio: 2.19; 95% confidence interval: 1.69 to 2.83; p < 0.001)でした(Fig3)。

上昇した血中グルコースレベルは、AHF患者の30日後死亡の独立した予測因子と言えます。

グルコース濃度を連続的に調べたとき、血中グルコースの1-mmol/L (18-mg/dl)の上昇は、オッズ比で9%(odds ratio: 1.09; 95% CI: 1.05 to 1.12; p < 0.0001)の30日死亡率の絶対的増加を示しています。

さらに、高グルコース濃度と30日死亡率増加との関係はDMの有無に関係なく認められました(Fig5)。

結論として、著者は、血中グルコースレベルがAHF患者の30日死亡を予測する強力なリスクマーカーであることが示され、今後は、AHFにおける高血糖の生理・病理学的研究が必要であると述べています。

Alexandre Mebazaa, Etienne Gayat, Johan Lassus, et, al.
Association Between Elevated Blood Glucose and Outcome in Acute Heart Failure:
Title and subTitle Break
J Am Coll Cardiol. 2013;():. doi:10.1016/j.jacc.2012.11.054 .Published online
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